今さら聞けないマーケティングの基本!「ベネフィット・差別化・エンゲージメント・4Pとは」前編
昨今、MA(Marketing Automation)という言葉をよくニュースや専門紙などで見る機会が多くなったと思います。弊社が提供するMOTENASUのお客様や展示会などで名刺交換させていただいた方々からも、「AI(人口知能)との違いはナニ?」と聞かれることも多々あります。そこで、今回は今さら聞けないマーケティングの基本について、簡単に記載をさせていただきます。
-
1.はじめに
-
私は社内研修やMAにご興味のある方々に『皆さんはマーケティングと聞いて、何をイメージしますか?』とよく聞きます。これはマーケティングを誤解されている方が多く、その状態でMAを導入しても失敗になるケースが多いので、その認識を確認するためにお聞きしています。
よく返ってくる回答は、
- 1、市場調査
- 2、広告出稿やノベルティ散布など
が多く、これを紐解くと1はマーケットリサーチであり、マーケティングではありません。2は広義ではマーケティングですが、その行為そのものは異なります。
では、マーケティングとは一体何か?
それは『お客様に価値を提供して、対価(お金)をいただくこと。またはその手段手法』であり、至ってシンプルです。
具体的には、この中に含まれる4点が重要となり、それに則った行動そのものになります。- 1)ベネフィット
- 2)差別化と強みの抽出(市場調査を含む)
- 3)セグメンテーションとターゲティング(エンゲージメント)
- 4)4Pマトリクスの明文化
-
2.ベネフィットとは
-
なかなか馴染みの無い言葉かも知れませんが、これを簡単にいうと「目的(ゴール)は何なのか?」を設定することです。多くの方々が経験されていると思いますが、商品やサービスを購入・導入する際、その多くは商品やサービス自体が欲しいのではなく、商品やサービスを購入・導入することにより、何かが出来ると思うからこそ。例えば『自動車が欲しい』となった際に、単純に趣味で自動車が欲しいと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、大概は、『その自動車に乗ることによって得られる何かを期待しているからこそ、自動車を購入する』に至ります。もちろん、購入時のこだわりでシートは革が良いとか、サンルーフが欲しいとか、大きなスペースで大人数や多くの荷物を載せられた方が良いとかなどの希望があると思いますが、上記に記載した『それに得られる何か』があることが基本となります。また、ゴルフクラブを新しくするのは、単純に金属の棒が欲しい訳ではなく、新しい仕様によって自身の飛距離やスコアが良くなることを期待して購入します。
よって、ベネフィットとは、顧客の望みや問題を解決することが最低限必要なことになってきます。これは上記で述べた『お客様に価値を提供して、対価(お金)をいただくこと。またはその手段手法』の価値を提供する部分になります。まずは、ここをしっかりと見出さないと次に繋がりません。
-
3.差別化と強みの抽出とは
-
「1)ベネフィット」を踏まえた上で次のステップとして重要なのが、競合他社をリサーチ(市場リサーチマーケティング)し、自社の商品やサービスが競合他社(ベンチマーク)の商品・サービスとどのような差別化がはかれ、強み(ウリ)を出していけるのか?を抽出するという部分になります。同然のことながら強豪が多くいる市場での戦略と独占的な市場での戦略は異なりますので、それらを把握しなければ、お客様に価値をどう伝えるのか?が明確化せず、結果的に売れない商品・サービスになってしまうのです。だから、自社の商品やサービスに対して対価(お金)を出す理由、競合他社商品・サービスとの違いをお客様に訴える必要が出てくるのです。
購入者の気持ちになると、商品・サービスの性能が全く同じであった場合、必ずと言っていいほど安い方を選択しますが、価格的な競争力は企業の体力を削ぎ落とすことになるので、選択肢としては最終的な手段になります。世界中で愛されているマクドナルドも、100円マックとして低価格を提供しますが、価格だけでの勝負はしていませんし、ユニクロも低価格の服だけを提供している訳ではありません。ここには明確な他社との差別化と強みを生かした戦略があるのです。
では、何をもって価格以外の差別化をするのか?と聞かれますが、一番早い方法は企業としての強みを活かす方法が望ましいです。通常、弱みで勝負することはないので、『差別化のポイント=企業の強み』になると思います。もし、競合他社より強い部分で差別化しようとしなければ、市場において負ける、もしくは、追い付かれて追い抜かれるだけですので、企業としての強みを活かす方法が最も競合他社より違いを見出せるポイントになります。
強みがなかったら?実は、強みがないことも多くあります。でも、それを解決する方法はシンプルです。
- 現時点でなかったとしても、探しましょう!きっと見つかります。
- 現時点でなかったとしても、創りましょう!きっと創れます。
競合他社に対して、どんな強みを創るのか?は戦略次第です。また、この戦略は、どのような方を顧客として価値を提供するのか?自社が得意とする分野は何で、それに関係する人は誰なのか?によって変わってきます。重要視したい内容は、
- a)手軽さ→低価格で便利な方が求められやすい傾向にあります。
- b)商品性能→最新のトレンドを取り入れた、最高のサービスは興味関心を惹きつけます。
- c)密着性→購入者をよく知り、理解し、望みを把握し、多少の融通を叶える
上記の全てを満たす発想があれば、それを行うことですぐにでも強みになります。
ただし、これらを見出す際に出してはいけないことは、ポジショニングという言葉です。多くの方々が市場において競合他社との位置を確認したがりますが、マーケティングで示すポジショニングとは差別化とほぼ同じ意味であり、上記に記載の軸が基本となるので、誤解を招いています。a, b), c)で競合他社との差別化を考える例えとして、もし美容院や理容院を開店する場合に【1】手軽さ】で考えると、安くて早くてどこにでもある「QBハウス」は、この部分での戦略的な事業展開を行っています。【2】商品性能】でいうなら、最新の技術や流行を駆使するカリスマ美容師などが該当すると思われます。【3】密着性】でいうのであれば、お客様カルテを作成して情報整理ができており、「前回と同じで!」などの注文にも柔軟に対応できるなどが該当します。強みを見出すことは、競合他社とは違う何かを見出すことであり、それがそのまま差別化になるのです。
-
4.セグメンテーションとターゲティング(エンゲージメント)とは
-
自分達の強みがわかり、差別化することができたら、次はそれをどう知って貰うのか?どんな人々に理解して貰えるのか?を探ることが必要になります。せっかくの強みや差別化のポイントも、理解してくれる人がいて初めて実現しますし、その理解を長期的に維持継続し、ファンにまで昇華させることを念頭に置かなければ、事業の継続や存続は危うくなります。もちろん、1回限りの接点しか持たず常に新しい新規顧客を開拓し続けるビジネスモデルであれば、理解がなくても売上になりますが、安定的な売上が立たない事業だと常に自転車操業になってしまい、次なる一手が出せなくなってしまいます。だからこそ、強さや差別化を理解してくれた方々に対して、さらなる展開をするのであれば、趣味嗜好に合わせた情報配信と配信後の情報分析(動態調査)を行った上で、さらに掘り下げた内容を配信をしていくなど、どんどん絞込みをすることが求められます。
- セグメンテーションとは?→対象を分けること
- ターゲティングとは?→分けた対象を絞ること
セグメンテーションとターゲティングは常に1つと考えた方が良いでしょう。対象を絞らない、狙わない戦略を行うのであれば、この2つは必要ありませんが、多くの場合が、狙いをハッキリとさせるために絞込みを行うと思います。よって、常に2つで1つなのです。
セグメンテーションの本質としては、ニーズの違いから分けることが多いですが、分類手法や統計などは、あくまでも解を導くための手段・手法であり、答えではありません。この部分はマーケティングに精通した方ほど誤解が多いのも事実です。自社における強みや競合他社との差別化を明確にしたら、セグメントとターゲティングを行いますが、その時にある程度のセグメントとターゲットが明確になっていることが多いでしょう。
-
5.4Pマトリクスの明文化とは
-
「1)ベネフィット」と「2)差別化と強みの抽出」と「3)セグメンテーションとターゲティング」を明確化した上で、さらに具体的にしたものが4Pマトリクスです。これを明文化(図解)し、さらにイメージさせることがマーティングにおいて重要になります。多くのサイトにも掲載があり、ご存知の方もいらっしゃいますが、1)~3)を明確化した上での4Pマトリクスを明文化する人は、あまり多くはありません。
- Product(製品・サービス):売り物としての商品・サービス
- Price(提供か価格):値段や価格体系(ビジネスモデル)
- Promotion(販促・売方):広告等を含む広義での売方
- Placement(流通):販路・提供方法
上記が、4Pであり、これらを図解したものが、4Pマトリクスとなります。強みや競合他社との差別ポイントを理解して貰える方に配分した上で、上記の項目に当てはめると、さらに事業を発展しくために必要な戦略になりますので、実践された方が良いでしょう。ポイントは、強みや競合他社との差別化を明確化し、それを理解して貰える方々に訴求するような4Pはどんなものか?ということを図解することです。よく通販番組などで見る「お得な○○」は、どのような点が「お得」なのか?という点を「通常なら○○だけど、これは○○をふんだんに利用している」などと言って、「お得」な感じを伝えています。そして伝える手段手法として、POPや広告、ロケーションや卸売、営業担当者の教育やオペレーションマニュアル化が必要になってくるのです。
-
6.まとめ
-
上記の内容をまとめると
- 1)ベネフィット=「価値」(ゴール・目的)の設定
- 2)強みと競合他社との差別化=高い価値、勝負どころの見極め
- 3)セグメンテーションとターゲティング(エンゲージメント)=「価値」に対しての理解者の発見と見極め
- 4)4P(製品・価格・広告・販路)マトリクスの明文化=競合他社と差別化点を理解者に提供する手段・手法
となり、多くのマーケティングの教科書や参考書に記載されている「今さら聞けないマーケティングの基本」です。普段の業務の中で意識せずとも考えている方も多々いらっしゃいますが、勘違いされていたり、改めて記載すると気付かなかった点が見えるという発言があるとご意見を伺ったので記載してみました。元来、マーケティングの基本を難しく捉える人も多くいますが、実は単純明解であり、当たり前のことなのです。よって、改めてご理解ください。