ECにおけるメルマガ開封率の目安とは?改善のコツも解説

メルマガは、EC業界で広く使われているマーケティング手法の1つです。メールアドレスのみで配信できる手軽さやコストの低さが魅力で、販売促進やナーチャリング(顧客育成)で安定した効果が見込めます。一方、開封率が上がらないと悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、ECでのメルマガの平均開封率や開封率の求め方、開封率を上げる方法などを解説します。SNSやDMと併用する方法もご紹介しているため、ぜひEC運営に役立ててください。

メルマガの開封率の計算・測定方法

開封率は、メルマガの効果を把握するための重要な指標です。メルマガを配信したら必ず開封率を求めて問題点を洗い出し、改善につなげる必要があります。
 
はじめに、開封率の求め方と測定方法を押さえておきましょう。
 

開封数÷有効配信数×100で計算される

開封率は、下記の計算式で求めます。
 
開封率=開封数÷有効配信数×100(%)

 
開封数とは実際に開封されたメルマガの数、有効配信数とはエラーで届かなかったメルマガの数を配信数から差し引いた数値です。
 
例えば、1,000通のメルマガを配信し、20通がエラーで届かず、100通が開封された場合なら、開封率は100÷(1,000-20)×100(%)=約10.2%です。
 
エラーが起こる理由としては、以下の要因が考えられます。
 

  • ・メールアドレスが間違っている
  • ・受信拒否されている
  • ・受信ボックスが満杯

メール配信ツールなどで測定できる

メルマガの開封率は、メール配信ツール、アクセス解析ツール、CRM/MAツールなどで測定できます。ただし、開封率を測定できるメールは、HTMLメールのみです。
 
開封率の測定では、目には見えない極小の画像(Webビーコン)をメールに記載する方法が使われています。メルマガが開封されると画像データがサーバーからダウンロードされるため、ダウンロード数をカウントすれば開封数を把握できます。
 
一方、テキストのみを扱えるテキストメールには画像を貼れず、測定もできません。

メルマガ開封率の平均

ECにおけるメルマガの開封率は、20~30%程度だと考えられています。
 
Benchmark社が実施した2022年の調査によると、「小売/消費サービス」の平均開封率は27.29%でした。一方、Constant Contactの2022年6月の調査によると、「小売(実店舗とオンライン、卸売と直販)」の平均開封率は26.82%でした。
 
これらの数値はあくまでも平均値です。実際の開封率は、商材・ターゲットの属性・配信時間などの要因で変動し、ばらつきが出ます。
 
ただし、自社の開封率が平均値よりも大幅に低い場合は、改善を検討する必要があるでしょう。具体的な改善方法は後段でご紹介します。

開封率以外に意識すべきメルマガの指標

メルマガの効果を把握するうえで、開封率以外に押さえておきたい指標として「クリック率」「CV率」「解約率」があります。

クリック率

クリック率とは、メールに設置したリンクがクリックされた割合です。
 
クリック率=クリック数÷有効配信数×100(%)
 
Benchmark社の2022年調査によると、平均クリック率は3.39%、「小売/消費サービス」の平均クリック率は3.42%でした。ただし、開封率と同様に商材やターゲット属性などの要因によってもクリック率は変わってきます。
 
「開封されたメルマガのうち、どの程度がクリックにつながったのか」を知りたい場合は、下記の計算式を使いましょう。
 
クリック率=クリック数÷開封数×100(%)
 
クリック数を測定する方法では、リンクのURLに特殊なパラメータを埋め込んでGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールでカウントする方法が主流です。
 
クリック率を高めるためには、スクロールなしで見える範囲(ファーストビュー)にリンクを置くなどの工夫が必要です。冒頭のみを見て読むかどうかを判断する人も多いため、リンクが末尾近くに設置されているとクリックされない可能性が高まります。

CV率

CV率(コンバージョン率)とは、有効配信数のうち購入・資料請求・会員登録などの目標達成に至った件数(CV数)の割合です。
 
CV率=CV数÷有効配信数×100(%)

 

CV数は、アクセス解析ツールやアクセス解析機能を搭載したCRM/MAツールなどで測定できます。
 
商材によって差があるものの、ECでのメルマガ経由のCV率はクリック率の10%程度と考えられています。1,000通のメルマガを配信した場合のクリック率が3%なら、CV率は0.3%程度、CV数は3件程度でしょう。
 
「開封されたメルマガのうち、どの程度がCVにつながったのか」を知りたい場合は、下記の計算式が有効です。
 
CV率=CV数÷開封数×100(%)
 
メルマガが開封されてもCVにつながらない場合は、メルマガの内容やリンク先ページに問題のある可能性が疑われます。具体的には、下記のような要因が考えられます。
 

  • ・メルマガやリンク先ページが見にくい
  • ・メルマガとリンク先ページのイメージやキーワードが一致していない
  • ・購入までの導線が長い
  • ・購入フォームへの入力に手間がかかる

解約率

解約率とは、メルマガ解約に至った割合です。
 
解約率=解約数÷有効配信数×100(%)

 

Kinstaが2022年に公開したデータによると、「小売」の平均解約率は0.19~0.5%程度です。ユーザーはさまざまな理由でメルマガを解約するため、解約率を完全にはゼロにはできません。ただし、解約率が平均よりも大幅に高い場合は、配信時間や頻度、内容の見直しが必要です。
 
メルマガの主な解約理由は、以下の通りです。
 

  • ・配信数が多すぎる
  • ・情報が役に立たない
  • ・広告が多すぎる
  • ・そもそも登録した覚えがない

 
「広告・宣伝」と「サイトへの誘導」を目的とするメルマガは、特定電子メールに該当します。特定電子メール法に準拠した運用が求められ、メールアドレスなどの個人情報を取得する際には、顧客から広告利用への同意を得る必要があります。配信停止を請求された場合は、直ちに対処しなければなりません。

メルマガの開封率を上げる5つの方法

ここからは、メルマガの開封率を上げるコツを5つご紹介します。

開封したくなる件名にする

件名は、開封率を上げるための最重要ポイントです。開封されなければ顧客へのメッセージも伝わらず、クリックやCVにもつながらないためです。
 
件名を見て、瞬時にメールを開封するかどうかを決める人も少なくありません。多数のメールのなかから自社のメルマガを選んで開封してもらうためには、「読もう」と思ってもらえる魅力的な件名が不可欠です。
 
件名を付ける際に意識したいポイントをご紹介します。
 

  • ・内容が伝わりやすいシンプルな件名を心がける
  • ・ターゲットに合わせたワードを使う
  • ・自社の都合ではなくユーザーにとっての有益性を重視する

 
件名の良し悪しは商材や顧客の属性によっても変わってくるため、試行錯誤を繰り返してデータを集め、ブラッシュアップしていきましょう。

迷惑メール判定されないようにする

メルマガがプロバイダーやキャリア、メールソフト、セキュリティ対策ソフトなどに迷惑メールだと判定されると、顧客の受信ボックスには届きません。下記のような場合は、迷惑メールに振り分けられる可能性が高まります。
 

  • ・1つのIPアドレス(Internet Protocol address)から大量にメールを送信する
  • ・件名、送信者名が空欄
  • ・本文に不審なURLが記載されている
  • ・送信者のメールアドレスが既存企業のアドレスに似ている

 
一方、顧客に「迷惑だ」と思われないための工夫も必要です。迷惑メールに指定されると、メルマガを配信しても自動的に迷惑メールフォルダーに振り分けられて、顧客の目には触れません。誤字脱字が多い、画像が重い、「?」「!」などの記号を乱用するなども、迷惑メールと認定される可能性を高めるとされています。

セグメント配信する

セグメントとは、顧客を性別・年代・好みなどの属性によって分けたグループです。セグメント配信とは、それぞれのセグメントに適したメールを配信するマーケティング手法です。

具体的には、「購入頻度が高い顧客にクーポンを配布する」「休眠顧客に新商品を案内する」などの方法が考えられます。

セグメント配信ができれば、メルマガの内容や件名を顧客のニーズに合わせやすいため、開封率やCV率、顧客満足度の向上が見込めます。特定のグループに絞った配信により、配信コストをカットできる点も魅力です。
 
セグメント配信を行う際には、下記のツールを利用するケースが一般的です。
 

  • ・メール配信ツール
  • ・セグメント配信機能があるCRM/MAツール

 
自社システムと連携できるツールを選べば、既存システムを入れ替える必要はありません。
 
ただし、セグメント配信には以下のような注意点があります。
 

  • ・一斉配信に比べると、セグメント分けやコンテンツづくりなどに手間がかかる
  • ・セグメント分けが適切ではないと、想定通りの効果が出ない

配信する時間帯・曜日・頻度を調整する

メルマガの開封率には、配信する時間帯や曜日、頻度が大きく影響します。
 
Benchmark社の調査によると、仕事用アドレスで開封率が高い時間帯は「12~15時台」や「9時台」です。一方、プライベート用アドレスでは、「21~23時台」に最も開封率が上がります。
 
ただし、開封されやすい曜日や時間帯は、顧客の属性によって変わってきます。例えば、就寝時間が早い人にとっては「21~23時台」のメール通知は迷惑になりかねません。
 
メルマガの開封率を上げるためには、配信テストを繰り返し実施して、自社の商材やユーザーにとっての最適なタイミングを探っていく必要があります。

他チャネルも併用する

メルマガの開封率アップを狙うなら、他チャネルとの併用も検討しましょう。仕事でメールを使う人でも、プライベートのコミュニケーションにはSNSなどの他ツールを使う人が増えているためです。
 
ECのマーケティングで利用できるメール以外のチャネルには、SNS・SMS(ショートメッセージサービス)・動画コンテンツ・紙のDM(郵送DM)などがあります。メルマガと他チャネルを併用すれば、顧客に最も届きやすい方法でアプローチができ、関心度や認知度、開封率を高める効果が期待できます。例えば、LINEをよく使う顧客には、「メールではなくLINEでメルマガを配信する」などが可能です。
 
ただし、チャネルとコンテンツには相性があります。LINEやSMSは長い文章の配信には向かず、SMSでは画像が使えません。広告色が強いメルマガをSNSで送り続けるとブロックされるおそれが出てきます。
 
有効なチャネルは商材や顧客によっても異なるため、「チャネルを使い分ける」「組み合わせる」などの工夫が必要です。

メルマガの開封率アップにつながるCRM/MAツールの選び方・チェックポイント

メルマガの開封率を上げるカギは、ツール選びにあるといっても過言ではありません。消費者の購買行動や価値観が多様化し、パーソナライズされたアプローチの必要性が高まっているためです。手作業では手間がかかるマーケティング施策も、CRM/MAツールを使えば効率的・自動的に実行できます。
 
ここからは、開封率アップにつながるCRM/MAツールの選び方やチェックポイントをご紹介します。

セグメント配信ができるか

1つ目のチェックポイントは、セグメント配信機能の有無です。
 
ECでは顧客管理のためにCRM/MAツールを利用するケースが一般的です。しかし、単発のメール配信や一斉配信の機能を搭載していても、高度なセグメント分けやセグメント配信に対応していないツールも少なくありません。
 
顧客に刺さるメルマガを届けるためにはセグメント配信が欠かせないため、必ず機能の有無をチェックしましょう。
 
さらに、配信の自動化機能を備えていれば、あらかじめ設定したシナリオに従ってメルマガを自動配信できます。例えば、「化粧品やサプリメントがなくなるタイミングで再購入を訴求するメルマガを自動配信したい」「特定のページに訪問した会員にだけお得なキャンペーンメールを配信したい」などの場合に役立ちます。

アクセス解析機能は十分か

2つ目のチェックポイントは、アクセス解析機能の内容です。アクセス解析とは、メルマガからサイトに流入したユーザーの属性や行動を分析することです。メルマガを配信してもアクセス解析をしなければ、CVにつながる改善ができません。
 
アクセス解析機能で分析できる主な指標は以下の通りです。
 

  • ・ページビュー数(PV数):ページが表示された数
  • ・セッション数:ユーザーがサイトを訪れた回数
  • ・回遊率:1回の訪問でユーザーが閲覧したページ数

 
その他、直帰率・離脱率・CV率の測定やセグメントごとの分析、ABテストなどが可能です。
 
アクセス解析は無料のGoogleアナリティクスでもできます。ただし、解析結果を適切に活用するためには知識や経験が必要で、機能が多すぎて使いこなせないケースも珍しくありません。一方、専門知識がなくても高度な解析ができる有料ツールもあります。自社の状況や必要な機能を考慮したうえで、目的に合った使いやすいツールを選びましょう。

複数チャネルで連携できるか

3つ目のチェックポイントは、複数チャネルとの連携です。前述したように顧客ごとに有効なチャネルは異なるため、複数のチャネルとの連携・分析ができるCRM/MAツールを選びましょう。
 
例えば、当社FIDの「MOTENASU」なら、ECで注目を集めているLINE公式アカウントとの連携が可能です。LINEで友だち登録した顧客と自社の顧客をひも付けて一元管理できるため、より精度の高いセグメント配信を実現できます。
 
メルマガの開封率を上げたいなら、紙のDMとの併用も有効です。一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」によると、DMの開封率は60%を超えています。メルマガとDMを併用すればさらに効果が上がります。
 
デジタルではアプローチしにくい高齢者などのターゲットに訴求できる点も、DMの強みです。DMを受け取った後に行動を起こす人は若年層に多いというデータもあります。ただし、紙のDMはメールに比べて単価が高いため、セグメント分けを徹底して送付対象を厳選しましょう。
 
なおMOTENASUはメール・SMS・LINEはもちろん郵送DMにも対応しており、セグメント化やシナリオ配信による効率化・自動化も可能です。

まとめ

ECにおけるメルマガ開封率の目安は20~30%程度です。開封率を上げる最も重要なポイントは、ターゲットに刺さる情報を配信することです。セグメント配信やアクセス解析、複数チャネルに対応したCRM/MAツールを利用してメルマガを最適化し、開封率アップを狙いましょう。
 
当社FIDが提供する「MOTENASU」は、メルマガのセグメント配信はもとよりLINEやDM、SMS、さらには郵送DMの自動配信にも対応しているCRM/MAツールです。RFM分析・LTV(顧客生涯価値)分析・定期引上げ分析などの高度な分析機能を搭載している点も魅力です。
 
既存システムとも簡単に連携することができ、導入後もすぐにご利用いただけます。サポート体制も充実しており、マーケティングのプロが貴社の問題を解決に導きます。
 
メルマガの開封率が上がらないと悩んでいる人は、MOTENASUの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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