通販でLTVを向上させるCRM戦略の考え方
今回は、“通販でLTVを向上させるCRMのポイントは?”というテーマについて、“顧客生涯価値”としての狭義のLTVあるいはCLVだけでなく、範囲を広げ“通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングにとっての顧客の価値”として広義のLTVあるいはCLVとは何かを検討します。その上で、統合的CRM/MAをどのように活用して、この広義のLTVあるいはCLVを拡大していくかについて、以下の目次に従い、概説します。
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はじめに
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“顧客生涯価値”を意味するLTV(Lifetime ValueあるいはCLV Customer Lifetime Value)は、1990年代に顧客の獲得・維持に関わるコストの正当化という観点から、顧客価値の定量的な計測値として生まれました。端的には以下の質問に答えることを目的としています。
• 顧客は、将来にわたり収益基盤として企業に対するキャッシュフローの源泉となり続けられるか?
• そのキャッシュフローの合計は、顧客の獲得・維持に関わるコストを上回るか?
顧客をベースにした収益基盤の強化を目的とし、中長期的な営業・マーケティング戦略の一環として、この狭義のLTVあるいはCLVの拡大・最適化に関する施策が取られてきました。現在、EC市場の継続的な拡大・消費者のデジタル化の加速に直面し、LTVあるいはCLVの捉え方も、こうした当初の考え方だけではなく、次のように読み替える必要性が認識されています。
• “通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングにとって、顧客に価値がある”と認識できる広義のLTVあるいはCLVには、どのようなものがあるか?
• 顧客がどのようなアクションを取った時に、この広義のLTVあるいはCLVが拡大したと認識できるか?また、その基準はどのようなものか?
• その拡大を意図して、顧客に対しどのようなアプローチをとるべきか?
• “内部の顧客”として通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングを位置付けとそのアプローチをどのように統合型CRM/MAと結びつけるか?まず、“通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングにとっての顧客の価値”(広義のLTVあるいはCLV)について概説します。
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通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングにとっての顧客の価値
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以下の確認作業は、営業・マーケティング・デジタルマーケティング間の共同作業を前提にしています。また、作業の精度・効率化、更に統合的CRM/MAへの設定という観点からシステムパートナーの助言も必要となる点、留意して下さい。
2.1 広義のLTVあるいはCLVが極めて高くなるケース
通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングにとって、広義のLTVあるいはCLVが拡大すると認識できるケースをカテゴリーとして書き出します。
次に、顧客がどのようなアクションをとった時、広義のLTVあるいはCLVが拡大したと認識できるか、その基準について確認作業が必要です。
例えば、以下のようなマトリックスを用意し、共有することから始めます。広義のLTVあるいはCLVが極めて高くなるケース
通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングにとって、広義のLTVあるいはCLVが拡大すると認識できるケースをカテゴリーとして書き出します。
次に、顧客がどのようなアクションをとった時、広義のLTVあるいはCLVが拡大したと認識できるか、その基準について確認作業が必要です。
例えば、以下のようなマトリックスを用意し、共有することから始めます。
カテゴリー・顧客のアクション分けを詳細に行うと、“木を見て森を見ず”になる危険性がある点、留意が必要です。顧客区分とのマッピング
次に、通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングが対象とする顧客区分に従い、どの顧客区分層からのアクションを優先するか、その基準の確認作業を行います。
例えば以下をベースに作成すると次表となります。
• 取引関連では、第一に、際優良顧客のアクション、次に顧客のアクション
• ソーシャルメディア関連では、第一に最優良顧客と顧客、第二がスリーピング顧客・見込み顧客・見込み顧客予備軍、インタネットユーザーは最後
• 消費者の行動分析関連は、インターネットユーザー全般
上記の確認作業を通じて、営業・マーケティング・デジタルマーケティング間の役割分担についても確認して下さい。
例えば;
• 最優良顧客は、営業がメインとなり、必要に応じデジタルマーケティングにOne-To-One的なコンテンツの配信を依頼する。
• インフルエンサーやPaid広告は、マーケティングがメインとなり、必要に応じデジタルマーケティングにOne-To-One的なコンテンツの配信を依頼する。
• スリーピング顧客、見込み顧客全般、インターネットユーザーに関するアクションは、基本デジタルマーケティングの担当となる。
• HPでの閲覧履歴の入手・分析は、デジタルマーケティングが担当し、分析結果を営業・マーケティング及び商品開発部に報告する。次に顧客にアクションを取って貰うため、営業・マーケティング・デジタルマーケティングサイドから顧客へのアプローチをどのように統合型CRM/MAに設定していくか検討します。
通販・オンライビジネスあるいはデジタルマーケティングからのアプローチと統合型CRM/MAでの設定
営業、マーケティング、デジタルマーケティングを“内部の顧客“として統合型CRM/MAへ登録します。
上記で洗い出したアプローチを以下の観点から分類し、“内部の顧客”へのアクションとコンテンツの配信という形で統合型CRM/MAに設定していきます。
• 担当として、営業、マーケティング、デジタルマーケティング
• アプローチの区分として、One-To-One的なものと準One-To-One的なものとを区別
• 統合型CRM/MAでのアクションの対象として、One-To-One的なものは営業乃至はマーケティングと準One-To-One的なものはデジタルマーケティング
• 代表的なアプローチに含まれないものは、対象外として処理
この確認作業に基づき、担当となった“内部の顧客”に対する具体的なアクションとコンテンツ案を作成し、統合的CRM/MAへの設定作業を行います。
この設定作業及び効果の検証方法について、システムパートナーの助言を必ず得るようにして下さい。実現性、精度と効率が格段に上がります。顧客サイドからのアプローチ
顧客サイド(インターネットユーザーその他も含む)から直接アプローチを受けるケースもあります。“極めて有益なアプローチだった“と分類できるケースがある場合には、その代表的なケースを分析し、上述の手続きに従い統合型CRM/MAに設定すべきかと思います。
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留意点とまとめ
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“顧客生涯価値”を意味するLTVあるいはCLVは、1990年代に顧客の獲得・維持に関わるコストの正当化という観点から、顧客価値の定量的な計測値として生まれたものです
広義のLTVあるいはCLV を“通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングにとっての顧客の価値”と読み直し、その拡大を図る為の通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングからのアプローチを洗い出します。更に、アクション、コンテンツとの関連付けを行います。
更に通販・オンラインビジネスあるいはデジタルマーケティングを“内部の顧客”として、アクション、コンテンツ、Email配信のタイミング等を統合型CRM/MAに設定していきます。統合型CRM/MAから“内部の顧客”に対し、広義のLTVあるいはCLVの拡大の為のアクションをとるようにというリマインダーの発信をイメージしています。
その設定作業及び検証の方法について、実現性・精度・効率性の観点から、システムパートナーの助言も必要となる点、留意して下さい。
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