定期通販事業者がLTV向上を実現するため知っておくべき3つのポイント

国内EC業界は、この10年弱で大きな転換期を迎えています。その要素の一つが、CPA・売上至上主義からLTV(顧客生涯価値)重視へのシフトです。しかし、何故LTVが重要視されるようになったのでしょうか。そして、LTV向上を実現する上では、何が成功の鍵となるのでしょうか。本記事では、その具体的なポイントをご紹介します。

定期通販の効果測定指標はCPAからLTVに

かつてはCPA・コンバージョン至上主義が蔓延していたEC業界。しかし、2012年頃からはそのトレンドが影を潜めつつあり、LTV(顧客生涯価値)重視のマーケティングが定着し始めています。この背景にあるのが、企業と顧客との関係性の変化です。

 

少子高齢化が加速し、市場規模の縮小が続く昨今。EC業界に限らず、「新規顧客獲得」の難易度は上がり続けています。そうした中で多くの企業が、顧客との関係性を「商品サービス購入時の一時的なもの」から、「商品サービス購入後も継続していくもの」として再定義しているのです。
新規顧客獲得にかけるコストよりも既存顧客の売上拡大を図るほうが売上拡大への圧倒的な近道だと考え、CRM/MAにかける予算の比重を大きくする企業様も非常に多くなってきております。

一般的に既存顧客に維持コストは新規顧客を獲得するコストの5分の1程度だとも言われています。
そうした中、「LTV分析」が収益最大化に向けた必須の取り組みになりつつあります。

LTV分析がなぜ大切なのか

LTV分析は、「顧客が商品サービスを使う上で、最終的に(企業に対して)どの程度の収益をもたらすのか」といった点を明らかにする手法です。商品サービスを一度しか利用・購入しなければ「LTVが低い」と評価できます。逆に、商品サービスを長期間(複数回)にわたって利用(購入)し続けているならば、「LTVが高い」といえます。

 

このように、長期間(複数回)にわたって利用(購入)される商品サービスでは、LTVが有効なマーケティング指標として定着しつつあります。そして、LTVはカスタマーロイヤルティ(顧客の企業に対する愛着度)とも相関がある、とされています。
顧客が企業のファンになってもらえれば新しい商品や、サービスを紹介した際に好意的なコンタクト得ることが可能になります。またファン層からの紹介・横のつながりも期待が持てます。

紹介により購入に至った顧客は一般的に継続率が高いとされています。
これらの理由により、自社に対して継続的に収益をもたらしてくれる顧客を特定する上で、LTV分析は欠かせない取り組みとなっているのです。

顧客リスト価値の最大化が今後の成長を決める

前述のような背景があり、企業が保有する「顧客リスト」にもLTVの発想を取り入れる定期通販企業が増えてきています。リスト化された顧客と継続的にコミュニケーションを取る中でLTVを計測・可視化すれば、そのデータを基点に効果的なマーケティング戦略を立てることが可能となります。

また、それらをCRM/MAなどのシステム上に蓄積することで、限られたマーケティングリソースを効率的に配分することも可能です。LTVが高い顧客から優先的に限定キャンペーンやイベント案内を行う、といった具合でマーケティング施策にメリハリをつけて、事業成長を加速させることができるのです。

では、LTV向上を実現する上ではどのようなポイントが存在するのでしょうか。今回は、3つのポイントに絞って見ていきます。

LTV向上を実現するため知っておくべき3つのポイント

ポイント① LTV分析は商品軸と媒体軸で行い、マーケティング活用へ

1つ目は、必要な分析軸についてです。

LTV分析を行う際には、必ず「商品軸」と「媒体軸」の2つを軸に据えましょう。その理由は、商品と媒体には相性があり、その組み合わせによって成果が大きく変化するからです。媒体ごとに抱えている顧客層が異なり、その顧客層が好む商品特性もそれぞれ異なります。更に媒体にも旬がありSNSから動画コンテンツ、急激に効果も生み出す媒体もあればその逆も十分に考えられます。
だからこそ、商品ごとに媒体価値を評価し、更に時代の潮流も正確に掴まないと、正確なLTV分析を行うことができないのです。

ポイント② 顧客アプローチを自動化する

2つ目は、顧客とのコミュニケーションプロセスを自動化することです。

単品リピート通販では、初回購入後のフォロー次第で、2回目以降の購入の有無が大きく異なります。つまり、LTV向上を目指す上では、「2回目以降の定期購入」を促すことが欠かせません。

しかし、顧客が増えるにつれて、この業務負荷は徐々に増大していきます。
分析担当者の業務付加が拡大し過ぎ、他業務を圧迫している現状も少なくないようです。
だからこそ、早い段階で顧客アプローチを自動化する仕組みを導入し、より高度な分析業務や企画立案に時間を費やせるような工夫が求められます。

ポイント③ ステップメールだけに依存しないDM戦略を準備する

3つ目は、ダイレクトメールの活用です。

EC上でコミュニケーションを取っているからといって、盲目的にステップメールだけを扱っていてはいけません。eメールはワンクリックで削除できてしまう上に、一度迷惑メールとして認識されてしまうと、二度と開封されなくなってしまう恐れすらあります。

だからこそ、メールでは反応率が低い顧客に対してはDMを活用する、といったマーケティングミックスの発想が成否を分かつ鍵となります。

今回ご紹介したようなLTVを向上させる上では、前提としてLTVの可視化が必要になります。その上で、LTV向上を狙うために様々な施策を実践し、PDCAサイクルを回し続けることが欠かせません。

より具体的な施策の知識を必要とされている方は、ぜひ、お問合せください。