Warning: Undefined array key 0 in /wp-content/themes/fid/single-blogs.php on line 8 定期通販/サブスクビジネスで追うべき指標は? - 「オンオフ融合マーケティング」戦略室|FID | 「オンオフ融合マーケティング」戦略室|FID

 

 

定期通販/サブスクビジネスで追うべき指標は?

今回は、“サブスクビジネスで追うべき指標は?”をテーマに、サブスクリプションビジネスのパフォーマンスを測る際に使われる指標について、以下の目次に従い、概説します。

はじめに

定期通販・サブスクリプション(あるいはサブスク)ビジネスの売上は、年々拡大しています。
また、定期通販・サブスクビジネスは年々多種多様化しています。主要なものを例示すると次のようになります。
 
•試供品・お試し期間の提供をベースとした化粧品や健康食品の定期通販
•SaaS(Software as a Service industry)業界での、ソフトウエアのライセンス定期的使用・更新
•特典会員に対し、定期通販契約の際のディスカウント、更に何回か継続した場合、より高いディスカウントの適用
•1年間一括払いの場合、月額払いよりも高いディスカウントの適用
•定額でビデオの見放題、音楽の聴き放題、書籍の読み放題など

 
更に、サブスク契約の内容も多様になっています。例えば、年単位、四半期単位、月単位、場合により週単位でサブスク期間の選択が可能、また、いつでもキャンセル可能とするケースもあります。
デジタルあるいは非デジタル媒体の区別なく、全ての商品・サービスが対象となっていると言っても過言ではありません。
 
EC市場の急激かつ質的な変化に直面し、EC事業者の多くの方が、定期通販・サブスクビジネスの併用を検討していると推測しています。
定期通販・サブスクビジネスのパフォーマンスを測定する際に利用される指標について、まず、基礎となる顧客LTVから概説します。

顧客LTV (顧客生涯価値あるいはCLV)

定期通販・サブスクビジネスの収益を計算する上で、最も基礎となるは、顧客LTV (Lifetime Value)(顧客生涯価値あるいはCLV (Customer Lifetime Value))です。
一般的な顧客LTVをサブスク用に定義し直すと次の通りとなります。
 
•個々のサブスク契約おける顧客LTV=価格*ディスカウント率*支払い回数*サブスク期間*リテンション率 - サブスクに関わるコスト
•総サブスク顧客LTV=総顧客数*個々のサブスク顧客LTV

 
経営レベルで利用するには、次のように読み替える作業が必要かと思います。
 
•商品・サービスをEC市場での競争的優位性で区分し、顧客のセグメントを加味し、マトリックスを作る。
•次に、例えば、“主力商品・サービスA”と“セグメントa”とし、個々の収益性を計算する。
 ・計算区分:主力商品・サービスA”と“セグメントa”
 ・当該Aaサブスク顧客LVT=価格*ディスカウント率*支払い回数*サブスク期間*リテンション率 - 当該サブスクに関わるコスト

 
“主力商品・サービスA”と“セグメントa”レベルで収益性を売上とコストの両面でチェックし、収益性を高めていく為の施策の考案・実施が可能となります。
尚、以下の概説では、この“主力商品・サービス”と“セグメント”レベルでの指標を念頭に置いています。この点、留意して下さい。

まず、売上に関わる指標を概説します。

売上に関わる指標

月々あるいは年間で繰り返し発生する売上(MRRあるいはARR)

定期通販・サブスクビジネスに関する売上指標としてMRRとARRが使われます。
MRRとはMonthly Recurring Revenue、ARRとはAnnual Recurring Revenueの略です。
月々あるいは年間で繰り返し発生する売上を意味します。
 
SaaS業界でのソフトウエアの使用ライセンス料金は、“月々よりは一括で1年間分を払ってくれれば、ライセンス使用料は安く”なります。このように、定期通販・サブスクの期間が長ければ、それだけ高いディスカウント率が適用されるのが一般的です。
 
また、サブスク期間も月単位や年単位だけでなく、四半期単位、場合により週単位で選択できるケースも増えています。
売上認識に関わる会計基準が複雑になっています。実際、正しく、MRRあるいはARRに分類されず、実際のキャッシュフローと一致しないケースケースもあるようです。

サブスク契約からの撤退率

サブスク契約からの撤退率は極めて重要な指標の一つとなります。
同業他社から顧客に対し、安価で魅力のある代替商品・サービスが提供された場合、即ち、EC事業者の商品・サービスに競争的優位性がなくなった場合、サブスク契約からの撤退率が高まります。
英語でChurn Rateと言います。
 
EC事業者にとり、この撤退率はビジネス上極めてインパクトがあり、重大な指標の一つです。
特に、セグメント毎にどのような原因・要因で、顧客がサブスク契約から撤退するに至ったか、詳細な分析が必要です。

リテンション率

サブスク契約に留まってくれる率を指します。英語ではRetention Rateと言い、Churn Rateの反対を意味する指標です。
サブスク顧客が、自分はOne of Them程度にしか扱われておらず、商品・サービスの質も低下し、また、カスタマーサービスの対応も悪いと感じる場合、この数字は低下します。
既存顧客の対応として、One To One的なコンテンツマネージメントだけでなく、商品・サービスの質の向上、サブスク顧客とのコミュニケーションの維持が必要となります。この点、通販・オンラインビジネスの場合と同様です。
 
次にコスト面に関わる指標を概説します。

コスト面に関わる指標

サブスク顧客の獲得・維持に関わるコスト(CAC)

サブスク顧客の獲得・維持に関わるコストという意味でCACが使われます。このCACはCustomer Acquisition Costsの略です。
新規にサブスク顧客を獲得する際に費やされるコスト、いわゆるフロントコストはかなりの額となります。新規サブスク顧客からの定期的支払いが、このフロントコストをカバーし、実際にMRRやARRに反映するまでには時間がかかります。この点、留意して下さい。
 
EC事業者・経営者として、上記の売上がこのCACを上回るようサブスク契約の条件等の設定を行う必要があります。
同時にこのサブスク契約の条件等が顧客に受け入れられ、ビジネスとして展開できるかどうかの経営判断が重要なポイントとなります。

その他のサブスク関連コスト

定期通販・サブスクリビジネスを検討する場合、単に、単品購入の注文画面に定期購入用の注文ルートを設定すれば完結するというものではありません。
次の観点から、現行業務に関わる全ての業務フローとシステム構成の見直しを行い、将来像の構築が必要です。
 
•ホームページの整備・検索履歴に基づく画面の個人別設定
•発注・ショッピングカートの機能
•受注処理・在庫管理・発送指示と顧客への配送状況の連絡
•代金の受取り決済処理
•顧客の嗜好分析とOne-To-One的コンテンツの発信
•定期通販の内容の変更・解約、
•更には顧客データーの保全保護・特定商取引法等に関するコンプライアンスの状況など

 
この際、既存システムの統合廃止も視野に入れ、また、業務コスト並びにシステムコストをマネージすることを念頭に、業務フローの効率化に資するトータルシステムの再構築を目指すべきです。尚、システムパートナーの助言は不可欠となります。

留意点とまとめ

定期通販・サブスクビジネスのパフォーマンスを測る指標には、いろいろなものがあります。基礎となるものは顧客LTVです。売上に関わるものとして、MRR・ARR、サブスク契約からの撤退率 (Churn Rate)、リテンション率(Retention Rate)、コストに関わるものとしてCACなどが挙げられます。
 
これらの指標の意味と留意点を“主力商品・サービス”と“セグメント”レベルで理解することにより、定期通販・サブスクビジネスの収益性の向上に資する種々な施策の考案・実行が可能となります。
また、現行業務に関わる全ての業務フローとシステム構成の見直しと将来像の構築を行って下さい。
 
この際、システムパートナーの助言をベースに、既存システムの統合廃止も視野に入れ、また、業務コスト並びにシステムコストをマネージすることを念頭に、業務フローの効率化に資するトータルシステムの再構築をご検討下さい。