LTVを構成する3つの変数と顧客ロイヤルティを最大化させる方法を解説

新規顧客獲得単価の上昇や、データドリブンマーケティングを得意とする新規参入企業の登場によって、従来の手法では満足のいく売上が作れない状況が続いている事業者も多いのではないでしょうか。そのような状況下で「LTV」の分析・改善は、昨今のマーケティング戦略において、売上を維持・向上させる際に欠かせない要素の1つとなっています。そこで今回はEC事業に焦点を当てながら、LTVを最大化させる方法について解説していきます。

LTVとは?

LTV(Life Time Value)とは、日本語で「顧客生涯価値」を意味するマーケティング用語です。LTVを算出することで、企業は自社の商品を購入した顧客が「一定期間にどのくらいの頻度で購入するのか」や「一定期間に自社にもたらす売上(利益)はどのくらいなのか」といった指標を得ることができます。企業のマーケティング担当者はこのLTVの指標を参考に、一度商品を購入したユーザーが2回目の購入、3回目の購入へと遷移するようマーケティング戦略を策定し、効果測定を行うことが可能なため、新規顧客獲得からリピート顧客獲得に向けた施策フェーズにおいて重要視されます。

 

また、昨今はどの業界でも、様々なITツールやAI関連技術を用いてデータを収集・蓄積し、データドリブンな施策展開・経営戦略を進める企業が増えています。さらにデータ分析や、データをもとにした戦略策定が得意な企業の新規参入も相次ぎ、新規顧客を奪い合うことで顧客獲得単価(CPA)が上昇している現状があります。こうしたWebマーケティングにおける顧客獲得単価の上昇が、企業の中長期的な売上減少・資金繰りの悪化を招くこともあり、以前にも増してLTVの算出・改善が求められているのです。企業にとって新規顧客獲得に多額の予算を投じることがリスクに感じられる今、LTVの最大化を図り、競争が激化する市場を生き抜こうとする企業が増えていると考えてよいでしょう。
 
ちなみに一度商品を購入したユーザーが2回目の商品購入に踏み切ることをマーケティング用語で「F2転換」と言います。その転換率(F2転換率)を高めるための施策は、2回目以降の購入を前提としたビジネスモデルである「定期単品リピート通販」や「D2Cビジネス」において特に重要視されます。F2転換およびF2転換率に関する改善施策は別記事にて解説しておりますので、合わせてご確認ください。
 

関連記事:F2転換・F2転換率とは?単品リピート通販・D2C事業における重要性と改善施策を徹底解説

EC事業でLTVを分析するメリット

EC事業でLTVを分析するメリットは主に下記の2つになります。

  • ・新規顧客獲得にかけるコストを最適化できる
  • ・マーケティング戦略の見直しに繋がる

EC事業における売上は「訪問者数(アクセス数)×コンバージョン率(転換率)×客単価」で算出されます。それぞれの指標を改善することで売上は上がっていきますが、単純に自社サイトへのアクセス数を増やすために広告予算を増やしても、昨今の顧客獲得単価向上の影響を受け、次第に入札競争に負けるようになったり、思うようなアクセス数を獲得できなかったりします。
 
市場における広告コストの上昇は自社でコントロールできないため、転換率の改善や、アップセルやクロスセルなどの手法で客単価を上げる工夫が求められます。その際に「自社の顧客がもたらす利益(LTV)」を分析・可視化しておくことで、「現状の広告予算を維持しても売上への影響は少ないのかどうか」や「転換率の改善によって売上はどのくらい上昇するのか」といった予測が立てられるようになります。つまり、LTVの分析によって、EC事業における売上改善の見通しがより鮮明になり、企業は施策に踏み切りやすくなるメリットを享受できるのです。

新規顧客獲得にかけるコストを最適化できる

一般的に新規顧客獲得に必要なコストは、既存顧客との関係を維持して同じ売上を上げる場合に比べて5倍かかることが知られており、マーケティング用語で「1:5の法則」とよばれます。EC事業においても新規顧客獲得に多額の広告費を投じ、集客施策として各チャネルでのSEO対策を実施しているため、新規顧客獲得よりも、既存顧客との関係維持によって利益を増やしていきたいと考える企業が多いといえます。LTVの分析によって、企業は既存顧客から見込まれる利益が一目で把握できるようになるため、売上目標に対して現状の集客数でも問題がない場合などは、新規顧客獲得にかけるコストを最適化する判断が下せます。

マーケティング戦略の見直しに繋がる

LTVを分析することで、企業は既存顧客が自社にもたらす利益を可視化できます。そのため、想定よりも利益が低い場合・多い場合に応じてマーケティング戦略の見直しが可能になり、「新規顧客獲得に継続的に予算を割くべきか」あるいは「既存顧客のLTV最大化に舵を切るべきか」といった判断を下せるようになります。

LTV最大化に影響する3つの変数

LTVには「平均購入単価」「平均購入回数」「継続購入期間」の3つの変数が関係しており、算出時は下記の公式を用います。

LTV=平均購入単価×平均購入回数×継続購入期間

それぞれの変数について解説していきます。

平均購入単価

平均購入単価とは、顧客1人が1回の買い物で購入する平均額を算出した値です。算出する際は「平均購入単価=売上高÷購入件数」を用います。

平均購入回数

平均購入回数は、顧客1人が一定期間内に購入する購入回数(頻度)を表しています。算出する際は「平均購入回数=購入件数÷顧客数」を用います。

継続購入期間

継続購入期間は、顧客1人がある商品を購入し続ける期間を指す指標です。定期購入商品の場合は「契約から解約までの期間」を指し、1回ごとに買い切る形の商材の場合は「最初に商品を購入した日から最後に購入した日」までを意味します。

LTV最大化に影響する3つの要素を高める手法

LTVを構成する3つの変数は様々なマーケティング施策によって高めることが可能です。普段から実施している施策もあれば、未実施の施策もあるかと思いますので是非参考にしてください。

平均購入単価を上げる手法

平均購入単価は「アップセル」や「クロスセル」などの手法で改善を図っていきます。例えば「ECサイトでAという商品を購入しようとしているユーザーに対し、同じ商品を購入している他ユーザーがよく購入しているBという商品も同時に購入しないかとレコメンドを行う」といった具合です。

平均購入回数を増やす手法

一定期間における平均購入回数を増やしたい場合は、様々なキャンペーンを行い、顧客に「買い時」を知らせることが重要になります。下記がよく用いられる手法です。

  • ・期間限定キャンペーン
  • ・バースデー特典
  • ・ポイント制度導入
  • ・新商品のお知らせメール

継続購入期間を延ばす手法

例えば、買い切り型の日用品を販売している場合、「1つの商品を2,000円で都度購入するよりも、毎月同じ日に定期購入を行うサブスクリプションモデルに切り替えることで1,900円で購入できる」といった売り方を提案することで、都度購入における買い漏れリスクを回避できるようになります。他にも下記のような手法があるため、継続購入期間を延ばしたい場合は施策を検討してみてください。

  • ・初回購入特典として次回利用可能なクーポンを配布する
  • ・利用に応じて割引率が適用される会員ランク制度を設ける

LTV最大化に欠かせない「顧客ロイヤルティ」について

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や自社ブランド・商品に対して感じている愛着の度合いを示す指標です。顧客ロイヤルティはよく「ブランディング」の領域で用いられる用語ですが、ユーザーの企業やブランド・商品への愛着がそのままLTVを構成する「平均購入単価」「平均購入回数」「継続購入期間」に影響を与えることで知られています。
 
例えば、同じ性能・価格の商品があった場合、「子どもの時に親がよく買ってくれて、使い勝手も分かっているブランド」と「1か月前に出来たばかりの新しいブランド」の2つでは、前者の方が購入される確率が高いと考えられます。もちろんユーザーは購入時に様々な要素を検討して購入しますが、過去の経験から満足・成功体験を得ているブランドの商品は購入ハードルが低いといえるでしょう。
 
商品の性能や価格は購入時の客観的な評価指標として確認できますが、現物の商品の付加価値ともいえる顧客ロイヤルティは、自社に長く利益をもたらすLTVの最大化において重要な役目を担っているといえます。

LTV最大化を目的とした顧客ロイヤルティ向上戦略の立て方

LTVを構成する各要素を高める手法は先述しましたが、LTV最大化を実現するには顧客ロイヤルティを高める戦略を立てる必要があります。とりわけ既存顧客と長く関係を維持したい場合、顧客ロイヤルティの向上は重要なマーケティング戦略となります。

ブランド価値の追求・発信

まずは「ブランド価値の追求・発信」を行うことが重要です。自社のEC事業が競合他社と比べて秀でている点、差別化できる点を洗い出し、その点を軸にブランドの価値として言語化していきます。例えば自社サイトの「企業理念」を刷新したり、サービスやブランドの「コンセプト」を作成したりすることで、サイトに訪れたユーザーに自社のオリジナリティを伝えることができます。サービスやブランドが出来た経緯や、誕生までのストーリーをコンテンツとして可視化することで、ユーザーの共感を得ることに繋がります。

カスタマージャーニーの見直し

顧客ロイヤルティの向上を図る際は「顧客がどのようなルートで自社を見つけ、商品購入に至るのか」を把握しておくことが重要です。また、既にカスタマージャーニーを策定している場合は、ブランド価値が最もユーザーに伝わる形で見直しを行うと、顧客ロイヤルティを早い段階で高めることができます。「1度商品を購入したユーザーに対し、次はどのような商品をレコメンドしていくのか」や「広告の印象を維持したまま購入までスムーズに進めるにはどうすればよいか」といった事柄を考えるとよいでしょう。

UXを意識したタッチポイントの改善

顧客ロイヤルティは、ユーザーが商品やサービスと接するタッチポイントからも影響を受けます。例えば、自社のECサイトがスマートフォンから閲覧しにくい仕様になっていたり、商品の購入までに長く時間がかかってしまっていたりすると、ユーザーはECサイトの使いづらさから、企業や商品への印象を悪くしてしまうことがあります。UXを意識したタッチポイント改善を行う際は、自社ECの事業規模やビジネスモデルに合ったECカートシステムを選び、ユーザーが心地よい購買体験を行えるかどうかを意識することが大切です。

CRM/MAツールを活用したCRM施策の実行

顧客ロイヤルティを高める時に欠かせないのが「CRM/MAツールの活用」です。顧客との関係性を良好なものに保つために、企業はまず顧客の満足度・心理状況を知る必要があります。顧客満足度の把握ではアンケート調査が主流で、サービスや商品を購入したユーザーに対し、「購入商品の使い勝手はいかがですか?」「何かご要望はありませんか?」といった質問を行うことが重要です。アンケート調査の結果を受け、サービス・商品の改善を図ったり、顧客と繋がるチャネル(メール・SNS・オウンドメディア等)で発信を行ったりする必要がありますが、全ての顧客に手作業で対応していては非効率になるため、CRM/MAツールを使って作業の効率化を図ることが求められます。
 
一般的なCRM/MAツールには、購買状況等に紐付いた顧客データを管理し、セグメントごとに配信リストを分け、メルマガの配信を行う機能が搭載されています。そのためユーザーの状況に応じて適切なタイミングでコミュニケーションを行うOne to Oneマーケティングも実施でき、顧客との良好な関係を築くことが可能です。「UXを意識したタッチポイント」と同様に、顧客と適切なタイミングでコミュニケーションが取れれば、顧客ロイヤルティの向上へと繋がっていきます。

まとめ|EC事業のLTV最大化なら「MOTENASU」「侍カート」がおすすめ

EC事業におけるLTVは、顧客ロイヤルティを高める施策によって最大化されます。今回は顧客ロイヤルティを高める方法としていくつか例を紹介しましたが、日々忙しいEC業務を行いながら施策を並行するのは簡単なことではありません。
 
特にCRM施策を効果的に行う必要がありますが、そこに不可欠なものがCRMツールです。前述したCRM施策の手法を実践する時、スタッフが一つひとつ手動で行っていては余りにも効率が悪く、競合ショップに後れをとってしまいます。
 
しかし、CRM/MAツール「MOTENASU」を使えば顧客データを一元管理でき、さまざまな条件でセグメント分けした高度なセグメント配信が可能です。

  • ・自動でセグメント分けして、シナリオに沿って自動でメッセージ送信
  • ・購入回数や購入金額だけでなく、複数の条件で細かなセグメント分けが可能
  • ・優良顧客との関係を維持するためのランク付与や個別の特別ページの設置も簡単
  • ・定期購入をキャンセルした顧客へのアプローチや休眠顧客の掘り起こしもしやすい
  • ・LINE、SMS、メール、ダイレクトメールに条件に合わせてメッセージ送信

あらかじめ配信条件やタイミングを設定しておけば、上記のようなセグメント配信を自動で行えます。多くのスタッフが手を取られるメッセージ配信作業を自動化できれば、配信コンテンツのクオリティアップにも注力できるでしょう。

具体例を挙げると以下のような施策が可能となります。

  • ・自社ECショップのゴールド会員にのみ特典情報配信する
  • ・当該月に10,000円以上購入してくれた顧客にだけ特別な情報をメールで配信する
  • ・過去2ヶ月間購入していない休眠顧客にだけメール・LINEでメッセージを配信する

さらに、MOTENASUを使えば自社が利用するLINE公式アカウントも一元管理できます。本店のアカウント、ブランドごとのアカウントなどを一元的に管理でき、それぞれのアカウントに最適なメッセージを個別に配信することも可能です。
 
分析やレポート機能にも優れており、商品別、流入元別にLTVを自動計算する「LTV分析」機能をはじめ効果検証や改善のための機能も充実しているため、よりLTVを向上させやすいマーケティング手法を追求し続けることが可能です。
 
「リピート通販におけるCRM施策を最適化したい」とお考えであれば、ぜひともCRM/MAツール「MOTENASU」の導入をご検討ください。
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効率的にLTV向上を図っていきたいEC事業者様は、ぜひ侍カートの導入もご検討ください。

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