定期通販/サブスクの「継続率」とは?|分析するメリットや向上させるコツ

継続率とは、サービスを1回のみではなく2回以上利用してくれた顧客の割合を表す指標です。
 
定期通販やサブスクリプションサービス(月額利用制、定期レンタルサービスなど。以下サブスク)では、新規顧客の獲得コストの方が既存顧客の維持コストよりも高くなるケースが一般的です。新規顧客を獲得しても継続してもらえなければ安定した収益を得にくいため、既存顧客の継続率を上げる施策が欠かせません。
 
本記事では、継続率の定義や計算方法、メリット、継続率を向上させるコツなどを解説します。定期通販やサブスク ビジネスの運営者やマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

定期通販/サブスクにおける「継続率」とは

はじめに、定期通販やサブスク サービスにおける継続率の定義と計算方法を解説します。

定期通販/サブスクの継続率の定義

定期通販やサブスク サービスにおける継続率とは、新規顧客のうち1回のみではなく2回以上継続して購入・利用した人の割合です。月額制のサブスクであれば、新規顧客のうち2ヶ月以上継続利用した人の割合を意味します。
 
ただし、2回利用した顧客のうち3回目を利用した人の割合を求めるなど、母集団を変えて分析する場合もあります。

定期通販/サブスクの継続率の計算方法

継続率の基本的な計算方法は、以下の通りです。

継続率=2回以上購入した顧客数÷新規顧客数×100(%)

例えば、新規顧客100人のうち2回利用した人が70人なら継続率は70%と計算できます。
 
継続率の目安は商品・サービスの種類や単価などによっても変わってくるため、他社との単純な比較はできません。自社の継続率を月次や年次などで算出し、推移を分析しましょう。また、「3回以上継続してくれた顧客の割合」なども計測してみると、顧客を固定化するための具体的な施策の発見につながることがあります。

定期通販/サブスクの継続率を分析するメリット

定期通販/サブスクの継続率を分析すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下で3つのメリットを解説します。

LTV向上の施策を検討する材料になる

継続率は、LTVを向上させる施策を検討する際に役立ちます。LTV(Life Time Value)とは、1人の顧客が一定期間内に自社の商品やサービスをどの程度購入・利用したのかを表す指標です。顧客が長く利用するほどLTVは上がるため、継続率を高める施策は重要です。
 
継続率の推移を分析すると、LTV向上の妨げになっている自社の問題点や打つべき施策がみえてきます。例えば、化粧品の定期購入で3回目の継続率が大きく下がり、解約理由が「商品を使い切れない」だった場合は、顧客に正しい使い方を伝える取り組みが不足している可能性も出てきます。

売上予想を立てやすくなる

将来の売上を予想しやすくなる点も、継続率を算出するメリットです。例えば、1ヶ月当たりの新規顧客が100人、2回目の継続率が70%、3回目の継続率が50%、単価が10,000円だった場合の売上は、下記のように予想できます。

1ヶ月目 2ヶ月目 3ヶ月目
新規顧客数100人売上100人×10,000円=1,000,000円 2回目継続顧客70人売上70人×10,000円=700,000円 3回目継続顧客50人売上50人×10,000円=500,000円
新規顧客数100人売上100人×10,000円=1,000,000円 2回目継続顧客70人売上70人×10,000円=700,000円
新規顧客数100人売上100人×10,000円=1,000,000円
売上合計額1,000,000円 1,700,000円 2,200,000円

売上予測ができれば資金調達が必要な時期も分かります。資金調達の準備や審査には時間がかかる場合もあり、前もって資金繰りの計画を立てられるメリットは小さくありません。赤字が予想される場合にはコスト削減などのリカバリー対策を早めに実行するなど、臨機応変な対応が取れます。

マーケティング施策の最適化につながる

継続率は、マーケティング施策の効果を測る指標として活用できます。例えば、新規顧客獲得のために複数の広告を出稿している場合を考えてみましょう。広告ごとの継続率を測定すれば効果の高い広告を判別できるため、「効果に合わせて予算配分を変える」「効果の低い広告を改善する」などの最適化ができます。
 
定期通販やサブスクでよく使われるツーステップ・マーケティングの最適化にも役立ちます。ツーステップ・マーケティングとは、顧客にサンプル品などを試してもらい安心感を高めてから、本商品の購入を訴求するマーケティング手法です。無料お試し・トライアル商品・無料モニターなど複数のプランを提供して継続率を比較すれば、どのような手法が自社に適しているのかが分かります。

 
(参考)
CRM/MAシステムMOTENASUでは、初回購入年月ごとに、その月に(初回)購入された顧客について、その後の継続率を自動計算し、随時確認することができます。また継続率は、商品ごと、流入元(測定コード)ごとに絞り込むこともできるので、継続率の低い流入元(広告媒体やクリエイティブなど)について見極めることも可能です。ぜひこちらもご参照ください。
▶参考:継続率を把握して打つべき施策を明確化

定期通販(サブスク)の継続率を高めるために重要なKPI

解約率(チャーンレート)とNPSは、定期通販やサブスク サービスにおける継続率を高めるうえで知っておきたい重要なKPI(重要業績評価指数)です。以下で、それぞれ詳しく解説します。

解約率

解約率とは、顧客のうち一定期間に解約した人の割合、または解約に伴う収益減少の割合です。チャーンレートとも呼ばれ、顧客数の減少で計算するカスタマーチャーンレートや、収益の減少で計算するレベニューチャーンレートなどがあります。目的に合わせて使い分けましょう。

 

解約率の測定期間は、1年や1ヶ月など必要に応じて調整可能です。具体的な計算例は以下の通りです。

カスタマーチャーンレート=一定期間内の解約者数÷期間初日の総顧客数×100(%)
レベニューチャーンレート=単価×期間内に解約した顧客数÷期間中の総収益×100(%)

 

例えば、期間初日の総顧客数100人、解約した顧客10人、単価10,000円、期間中の総収益500万円だった場合のそれぞれのチャーンレートは以下の通りです。

  • ・カスタマーチャーンレート:10人÷100人=10%
  • ・レベニューチャーンレート:10,000円×10人÷500万円=2%

カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの目安は、3%程度だと考えられています。数値が目安よりも大幅に高い場合は、解約率を下げる施策を検討しましょう。

NPS

NPS(Net Promoter Score)とは、顧客の愛着や信用の程度(顧客ロイヤルティ)を表す指標です。特定のサービスや商品を「どの程度友人や家族におすすめしたいか」を0~10の度合い(スコア)で回答してもらい、推奨者・中立者・批判者に分類します。
 

分類 スコア 特徴
推奨者 9、10 サービス・商品への満足度が高く、周囲の人におすすめしてくれる
中立者 7、8 批判もしないが、おすすめもしない
批判者 0~6 ネガティブな口コミを広げる可能性がある

 
NPSは下記の計算式で求めます。

NPS=(推奨者数-批判者数)÷回答者総数×100

例えば、回答者10人、推奨者2人、批判者4人だった場合なら、NPSは(2-4)÷10×100=-20ポイントです。批判者に該当するスコアが多いため、NPSの値は通常マイナスです。顧客ロイヤルティが高い顧客は簡単には利用を止めたり競合他社に乗り換えたりしないと考えられるため、NPSが高いほど継続率の向上が見込めます。

定期通販/サブスクの継続率を高める7つの方法

定期通販やサブスク サービスにおける継続率を高める方法を7つ紹介します。

申し込みのフローを改善する

申し込みフローには、「定期販売/サブスク型のサービスだ」と明確に伝わる工夫が必要です。顧客が単回購入だと思って申し込み、契約後に定期購入だと気付くと、トラブルに発展する恐れも出てきます。コールセンターでは、定期通販(サブスク)型のプランだという旨を分かりやすく伝える必要があります。利用回数に縛りがある場合は、その説明も必要です。
 
広告やWebサイトからの申し込みでは、定期購入(サブスク)だと明確に分かるデザインやテキストが求められます。顧客の視点に立ってフローを改善し、安心感や信頼度を高めましょう。単品購入やトライアル商品の申し込みフローでお得な定期購入を訴求する方法も、継続率アップに役立ちます。

メルマガなどで接点を増やす

メルマガや郵送DMなどを活用して顧客との接点を増やすと興味が薄れにくくなり、顧客ロイヤルティを高める効果が狙えます。
 
ただし、頻度や内容は十分に検討しましょう。例えば、広告色の強いメルマガを頻繁に送ると、メルマガを解除される可能性が高まります。場合によってはサービス自体の解約につながる恐れもあるため、注意が必要です。
 
内容は、顧客のニーズに合わせて調整します。関心を引けないメルマガや郵送DMを送っても、開封されなければ成果にはつながらないためです。顧客のニーズを把握するためには、顧客情報や過去の購入履歴、サイトの閲覧履歴などのデータを一元管理・分析できるシステムやツールが役立ちます。詳細は後述します。
 
効果的なメルマガ配信シナリオについては、下記なども参考にしてください。
参考:▶参考:LTVを向上させるEC/D2C向けCRMシナリオ

同梱物で訴求する

継続率を高める効果があるチラシやパンフレットなどを同梱物に使う方法も有効です。同梱物とは商品とセットで届ける広告物・印刷物です。同梱物には開封率がほぼ100%という特徴があるため、積極的に利用しましょう。
 
例えば、利用者の生の声を記載したチラシを同梱すると、自分の将来の姿をイメージしやすくなり、継続利用をためらっている顧客の気持ちを後押しできます。サンプル商品を同梱してアップセルやクロスセルにつなげる方法もおすすめです。
 
商品の使い方説明書も効果の高い同梱物です。商品への理解が深まりモチベーションを高められるため、一度も使われないまま放置される事態を回避しやすくなります。「効果が得られない」「商品がなくならない」といった理由での解約を減らす効果も見込めます。
 

長く継続するほどお得になる特典を用意する

長く利用するほどお得になる特典を用意すると、愛着心や継続率が高まりやすくなります。具体的には、利用状況によって会員ランクが上がり、ランクに応じて特典がもらえる仕組みなどが考えられます。継続するほど料金が安くなる割引制度や、ポイントがたまりやすくなる制度も効果的です。
 
誕生日や解約率が高まる時期に合わせて、サプライズプレゼントを贈る手もあります。想定していなかったプレゼントは、顧客の優越感・満足感を高めます。サプライズプレゼントは同梱物ではなく、別便で送る方が特別感を演出しやすいでしょう。

商品余りを防ぐ施策を実施する

定期通販の主な解約理由には、「効果が感じられない」「他の商品を試したい」「価格が高い」「商品余り」などがあります。商品余りとは、次の便が届くまでに商品を使い切っていない状況です。余りが出たタイミングで解約を検討する人もいるため、対策が必要です。
 
正しい使い方をすれば通常大量の商品余りは生じないため、使い方の説明に力を入れましょう。具体的には、同梱物やメールなどで使い方の理解を深めるコンテンツを届ける方法などが考えられます。商品が使いにくい場合は、簡単に使うための改善も必要です。
 
一方、定期便の休止制度やお届け日を指定できる仕組みを用意しておくと、商品余りが起こっても解約を回避できる場合があります。

クレジットカード払いの割合を増やす

定期通販/サブスクでは、クレジットカード払いの割合を増やすと継続率が高まるといわれています。
 
すでにサービスを利用している人にとっては、決済の手続きを毎回自分でする必要がないクレジットカード払いは便利です。クレジットカード払いでポイントが付くなど、お得になる制度があればより魅力的です。利用者にメルマガや同梱物などで便利さやお得さをアピールして、クレジットカード払いへの切り替えを促しましょう。
 
ただし、アップセル・クロスセルのタイミングや新規顧客に対して安易にクレジットカード払いをすすめると、警戒感を抱く人も出てくるため、注意が必要です。都合に応じて後払いや代引きを選べる方がより安心です。

解約理由アンケートを実施する

解約の申し込みがあった場合は、アンケートフォームなどを利用して解約理由を聞き出しましょう。それぞれの理由に合わせて問題点の解消につながる提案をすると、解約を回避できる場合があります。
 
例えば、解約理由が送料の高さだった場合であれば、「3ヶ月分おまとめ発送で送料無料になる」などと訴求する方法が考えられるでしょう。「効果を感じられない」という人に、半年程度で効果を実感できる人が多いなどのデータを紹介する手もあります。
 
ただし、解約時の無理な引き止めは厳禁です。顧客の立場に立って最後まで丁寧に対応すれば良い口コミにつながりやすく、再度利用してもらえる可能性も高まるためです。解約を防げなかった場合でも、解約理由のデータを蓄積して分析すれば改善に生かせます。

定期販売/サブスクの解約理由アンケートを実施する際のポイント

定期通販/サブスクの解約理由アンケートを実施する際に知っておきたい2つのポイントを解説します。

何回目で解約したかを調べる

1つ目のポイントは、何回目の利用で解約したのかを調べることです。解約時期に一定の傾向があるなら、解約理由と併せて考察することで問題点を明確にできます。
 
例えば、サブスクの無料お試し期間が終了するタイミングで解約する人が多かった場合、ニーズにマッチするサービスを提供できていない可能性があります。「興味のあるコンテンツがなかった」という解約理由が多かったなら、ターゲットのニーズを把握してコンテンツを用意するなどの施策が必要になるでしょう。
 
1年目での解約が多い場合は、1年以上の長期利用者に対する特典の強化によって解約率を下げられる可能性もあります。

顧客の属性ごとの解約理由を集計する

2つ目のポイントは、顧客の属性ごとに解約理由を集計して分析することです。年代や性別、居住地などの属性によって商品やサービスに対するニーズや満足度が変わってくる可能性があるためです。例えば、化粧品に対するニーズは年代や性別によっても異なるため、同じ商品に対する満足度に差が出る場合があります。
 
顧客が解約する理由はさまざまです。商品やサービスに不満がある場合もあれば、制度や特典に不満を持つ人もいます。解約理由を属性ごとに集計して傾向を把握できれば、きめ細かい対策が可能になり、継続率アップにつながりやすくなります。
 
顧客の購買履歴や属性に基づく分析を効率化したい場合は、次項で紹介するシステムやツールが便利です。

定期通販/サブスクの継続率の計測と改善には、自社に合うツールの導入がおすすめ

継続率を計測して効率的に施策を改善・運用したい場合は、自社の商材・業態に最適なECシステムやCRMツール、分析ツールの導入を検討しましょう。

弊社FIDが提供するCRMシステム「MOTENASU」なら、継続率・平均LTVなどの指標を簡単に表示する機能やアンケート機能など、マーケティング施策の改善に必要な機能が充実しています。
また、基本的な分析機能に加え、継続率を簡単に確認できる継続率分析やROI分析などの高度な分析機能まで搭載しています。継続率や解約率の分析に必要なデータを手作業で準備したり計算したりする必要がなくなり、業務の大幅な効率化が可能です。
 

 
顧客属性や行動履歴の分析によって、大量の顧客データを容易にセグメント化(グループ分け)できる点も魅力です。セグメントごとのニーズにマッチするシナリオを作っておけば、メール・LINE・SMS・郵送DMでのアプローチを最適化・自動化できます。例えば、「10,000円以上購入した人にのみメールを配信する」といった施策を自動で行うことも可能です。セグメントごとの最適なアプローチで顧客ロイヤルティを高め、継続率向上や売上アップに貢献します。

まとめ

継続率は、定期・サブスクを安定的に成長させるうえで押さえておきたい重要な指標です。解約率やNPS、解約理由アンケートなどのデータも併せて活用して、売上アップにつなげましょう。
 
CRM/MAツール「MOTENASU」であれば、基幹システムと連携して継続率をはじめとする各種データを分析し、その後のCRM施策まで一元管理できます。ECやCRMの経験が豊富なスタッフによる手厚いサポートが受けられる点も特徴です。
 
定期通販/サブスクの継続率を上げたいEC運用・マーケティング担当者様は、お気軽にお問い合わせください。

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