通販のLTV向上に「同梱物」が役立つ理由と活用のコツ

通販において、戦略を立てずチラシやパンフレットを同梱するだけでは成果につながりません。しかし、押さえるべきコツを把握したうえで活用すると、顧客ロイヤルティに好影響を与え、LTVの向上が期待できます。
 
本記事では、通販のLTV向上に同梱物が重要な理由や活用メリット、同梱物の種類を紹介したうえで「LTV向上につなげるコツ」を解説する内容します。通販において同梱物の効果を引き出したい方はぜひご覧ください。

通販の同梱物とは

同梱物とは、通販の商品と一緒に入れる販促物のことです。開封する時最初に目に留まるため、通販における重要なコミュニケーションツールといえます。内容は商品の使い方の説明やお客様の声、関連商品の紹介などさまざまです。関連商品や販促メッセージをカタログ・チラシなどさまざまな形で伝えます。
 
また、「定期購入への引き上げ」「クロスセルの訴求」など、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値の略。1人の顧客が一定期間内に自社の商品やサービスをどのくらい購入・利用したのかを表す指標)の向上にも関係する重要なツールです。以上のように、同梱物を工夫することで商品を届けるだけでなく、より付加価値を感じてもらえたりリピート購入につなげられたりします。

通販のLTV向上のために同梱物が重要な理由・メリット

通販における同梱物が重要な理由・メリットは以下の4つです。

  • ・顧客への接触率が高い
  • ・通販において接客ツールの役割を果たす
  • ・定期購入への引き上げに役立つ
  • ・リピート率アップにつながる

それぞれ解説していきます。

顧客への接触率が高い

同梱物は商品を開封する際「基本的に必ず目に留まる」というメリットがあります。
 
顧客にメッセージを伝える際にはメールが活用されることも多いですが、メールは開封すらされないことがあります。BENCHMARK社の業種別メール開封率のデータによると、小売/消費サービス業のメールの平均開封率は27.29%ということです。それに対して同梱物の「見てもらえる」という点は強みといえるでしょう。
 
また、同梱物は商品が届いたという「興味・関心がある瞬間」にアプローチできるものです。訴求に対して高い反応率が期待でき、LTV向上に貢献します。

通販において接客ツールの役割を果たす

同梱物は、通販において弱点になりがちな接客面を補うツールとしても活用できます。
 
対面では購入者に使い方を説明するなどのコミュニケーションを取れますが、通販では直接コミュニケーションが取れないため、顧客と信頼関係を構築するのが難しいのも事実です。
 
そこで同梱物であれば商品の使い方や魅力を深く紹介できるため、顧客ロイヤルティに好影響を与えLTV向上も期待できます。

定期購入への引き上げに役立つ

定期商品を扱う店舗において、開封のタイミングは定期購入を案内するチャンスといえます。お試し購入の際は、同梱物で定期購入契約へと進むよう促すことが特に重要です。期待値が高まっている開封時に、しっかりと定期購入の存在やお得なプランを訴求することで、定期購入への引き上げ率を高める効果が期待できます。
 
同梱物の内容として有効なのは「ご挨拶状」や「お客様の声」などです。挨拶状で店舗への親しみが高まったり、他の顧客の評価で商品の魅力をより感じられたりする効果があります。このように同梱物でアピールすることで、定期購入への引き上げに役立つのです。

リピート率アップにつながる

同梱物の種類によってはリピート率アップにつながるメリットがあります。
 
通販関連の情報サイトが公開している同梱物の効果を調査したデータによると、「ご挨拶状」「お礼状」「お客様の声」といった7種類の同梱物のほとんどで平均継続回数にプラスの影響が出ているという結果でした。特に「キャンペーンチラシ」は平均継続回数が2.2回から2.5回、「お客様の声」は同2.3回から2.6回という結果になっています。
 
キャンペーン施策は割り引きなどの特典があるためコストがかかりますが、お客様の声に関してはコストをかけずにリピート率アップにつながっている点が魅力です。

通販でよく使われる同梱物の種類

通販でよく使われる同梱物の種類は以下の5つです。

  • ・挨拶・お礼のメッセージ
  • ・使い方の説明
  • ・お客様の声
  • ・定期購入の案内
  • ・関連商品の紹介

同梱物の目的や自社商品の特性を考慮して選定することが重要です。

挨拶・お礼のメッセージ

初回購入してくれた顧客に向けて、挨拶や感謝の気持ちを伝えて長期的に良好な関係を築くことを目的とした同梱物です。
 
文面は事務的なものではなく、商品への思いや自社の理念を交えた内容が効果的。手書き風の文字にするとより好印象を持たれる可能性があります。また、健康食品や美容商品などでは早期使用を促す文言を入れておくと短期間でのリピート購入や定期引き上げにつながる効果があります。

使い方の説明

商品の正しい使い方や使用量などの説明は、商品の効果を引き出すために重要な要素です。正しい使い方を事前に伝えることで怪我や故障などのトラブルを避けられるメリットがあります。また、適切な使用量を伝えることで意図した効果が得られることに加え、使い終わるタイミングの調節にも有効です。
 
正しい使い方や使用量に関する同梱物は商品の評価につながる要素であるほか、リピート購入を促すメールマーケティングを行う際にも影響します。狙い通りのタイミングでメールが届くことで、リピート購入や定期引き上げ、そしてLTV向上に寄与します。

お客様の声

これまでの顧客の声が記載されたチラシを同梱物にすると、商品に安心感や信頼感を持たれリピート購入につながりやすくなります。昨今はSNSなどの普及に伴いユーザーの口コミ・評判を確認したうえで購入することが普通になっていますが、通販事業者側が主導する形でお客様のリアルな声を同梱物として届けるのは、ファン化・リピーター化を促すうえで効果的です。
 
お客様の声を掲載する際は自社に寄せられた声を文章にするだけでなく、顔写真を掲載したり手書きの文字で記載したりなどの工夫をすると、より信頼性が高くなります。顧客の許可を得て本名を記載するのも効果的です。また、「初回購入の場合には購入歴が短い顧客の声を紹介する」「リピーターには購入歴が長い声を紹介する」というようにセグメントごとに最適化するのも有効といえます。

定期購入の案内

定期購入を促すパンフレットを同梱物にするのも効果的です。「開封時に見せても効果がないのでは」と考えがちですが、商品の使用前に印象づけておくことで定期引き上げの可能性が高くなります。
 
通販における定期購入を促す内容としては、「定期購入で〇〇円お得になる」「送料無料+〇〇%OFF」など、価格面でのメリットを盛り込むのが効果的です。他には、「追加で1箱をプレゼント」「期間限定で〇〇をプレゼント」なども挙げられます。商品の利益率や店舗内のリソースを考慮して決めてみてください。

関連商品の紹介

購入商品と関連性の高い商品を掲載した商品パンフレットやチラシを同梱物にすると、クロスセルにつながりLTV向上が期待できます。掲載する商品は購入した商品の次に欲しくなるものや、商品がより便利になる関連商品などが挙げられます。通販における顧客の購買行動を分析したうえで適切な関連商品を選定することが大切です。
 
関連性の低い商品を紹介すると、顧客が抵抗感を覚える可能性があります。売りたい商品や利益の大きさを基準にするのではなく、あくまでも顧客ニーズにマッチする商品を選ぶことが重要です。

通販において同梱物でLTV向上につなげるコツ

前項では通販での同梱物の主な種類を紹介しましたが、コツを把握したうえで活用しなければ思うような成果を得られない可能性があります。ここからは、同梱物を活用してLTV向上につなげるコツを解説します。

1回の発送で大量の同梱物を入れない

同梱物を入れる際は、本当に伝えたいものに絞るのが重要です。
 
同梱物を大量に入れてしまうと、顧客が扱いを面倒に思ったりどれから見たらよいか分からなくなったりして目に留まらなくなる可能性が高くなります。内容を見てもらえないと、意図した効果が発揮できないだけでなく、印象が悪くなるかもしれません。
 
同梱物は適切な数に絞るのに加えて、記載メッセージもシンプルで視覚的にも分かりやすくなるように工夫してみてください。すると、パンフレットやチラシ作成のコストを抑えつつLTVの向上に寄与する可能性があります。

​​顧客ごとに同梱物をパーソナライズする

通販における同梱物は全ての顧客に同じものを入れるのではなく、顧客のセグメントに応じてパーソナライズすると効果的です。
 
リピート回数をもとにセグメントを分けるなら、「初回購入客の場合は、商品説明やお客様の声を訴求して安心感を感じてもらう」「リピーターの場合は、感謝のメッセージを添えたサプライズプレゼントや、別商品も合わせて使うことのメリットを伝える」といった施策があるでしょう。
 
購入チャネルをもとに分けるなら「オフライン購入では定期コース申込用のはがきを同梱する」「オンライン購入では二次元コード付きの定期申込みチラシを同梱する」などの方法が挙げられます。
 
以上のような同梱物のパーソナライズ化を進めるなら、CRM/MAツールを用いるなどして、顧客属性や過去の履歴、通販サイトへのアクセス状況などのデータを収集・分析することが重要です。

コスト・工数の管理を徹底する

LTV向上に効果的な同梱物ですが、制作コストや工数には注意が必要です。同梱物にかけたコストに比べ成果が少ない場合は損失となります。同梱物はあくまで広告の一種であることを意識し、LTV向上のために見込める効果と制作・施策費用のバランスを取ることが重要です。
 
また、制作における工数管理の徹底も見逃せません。パンフレットの制作や同梱物の内容をパーソナライズするプロセス、梱包作業などを効率化し、できるだけ手間のかからない運用体制を構築することが重要です。
 
以上のように通販で同梱物施策を実施する際は、費用対効果を常に意識し、コスト・工数の管理を徹底する必要があります。

通販において同梱物施策の効率化・高精度化を実現する方法

前述の通り、通販の同梱物は顧客のニーズに合わせた内容を効率よく届けることが大切です。それを実現するために有効な方法としては、「物流アウトソーシングの利用」が挙げられます。
 
通販における物流には入荷や保管、流通加工、梱包、発送などさまざまなフローがあります。社内で対応するのが難しい場合は、アウトソーシングするのが現実的な対策になるでしょう。
 
アウトソーシング業者であれば、在庫管理や梱包・発送といった基本的な作業に加えて、ピッキングの際に同梱物を入れる作業も代行してもらえる場合があります。種類の異なる同梱物を選んで入れるなどの作業も外注することで、社内のリソースを割かずに済むのがメリットです。
 
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同梱物においては以下のような設定が可能です。

  • ・購入商品ごとに同梱物を変える
  • ・会員にのみ同梱物を入れる
  • ・トータル購入回数の範囲を同梱物の条件に指定する
  • ・設定した購入数ごとに同梱物を入れる

 
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まとめ

通販の同梱物は、効果的に活用することで定期引き上げやリピート率アップにつながりLTV向上に役立ちます。顧客とのコミュニケーションツールという側面もあり、対面での接客機会のない通販事業においては重要な接客機会ともいえるでしょう。同梱物施策を行う際は、成果と工数・費用バランスを考慮しながら費用対効果の高い運用を行うことが重要となります。
 
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