ECにおけるDM(ダイレクトメール)施策の有効性とは?施策展開も合わせて解説

ECに限らずインターネットを活用したビジネスでのマーケティング施策は、どうしてもデジタルを中心に考えてしまいがちです。しかし、お客様の視点で見れば、最終的な購入場所がインターネットであるだけであり、その過程がすべてデジタルでなければならない理由はありません。
たとえば、ECで電子メールではなく紙のDM(ダイレクトメール)を活用すれば、これまでアプローチが難しかったお客様にも届く可能性が高まるでしょう。本記事では、ECにおけるDMの有効性を見たうえで、実際にDM施策をおこなう際の効果的な展開方法について解説します。

DM(ダイレクトメール)とは?

DMとは、ダイレクトメールの略称で、特定の個人に向けて送られる主に宣伝を目的とした情報を記載したものを指します。
 
送る方法としては、電子メールのほか、郵送(ハガキ、カタログ、封書、小冊子など)が一般的です。また、TwitterやInstagramなどのSNSで個人宛に送るメッセージはDM(ダイレクトメッセージ)と呼ばれます。

企業の宣伝手段としては、テレビや新聞、雑誌、インターネットを使った広告もありますが、DM(ダイレクトメール)は直接お客様の手元に届けられるため、古くから活用されている宣伝手段です。
 
※以下「DM」は「ダイレクトメール」を意味します。

デジタルマーケティングによる顧客アプローチの限界

ECにおいて紙のDMが注目を集めるようになっている理由の一つに、デジタルマーケティングによる顧客アプローチの限界が挙げられます。

2022年2月に発表されたアメリカ・SmartInsights社のデータですが、企業がお客様に送った電子メールの開封率は16.97%で、メール本文のリンクをクリックしたクリック率は10.29%でした。
また、日本においても2021年11月にトッパン・フォームズ株式会社が発表した、「DMに関する生活者調査 (2020年度)調査結果レポート」では、メルマガ開封率は42.3%です。

 
これらの調査結果から、デジタルを活用したマーケティングだけでは、顧客リストの50〜70%以上のお客様に届いていないことがわかります。そこでECのお客様であっても、従来のアナログ的な施策であるDMが見直されつつあるのです。

ビジネスにおけるDMの重要性・有効性

アナログ的なマーケティング施策であるDMが注目される最大の理由は、DMの有効性です。
2021年11月に株式会社ネオマーケティングが発表した、「生活者が求める、企業とのコミュニケーションツールって?<第二弾>」によると、郵便物のDMが届くと回答したのは91%。そして届いたDMの内容を、「しっかり読む(10.0%)」「ざっくり読む(60.5%)」と70%以上の方がDMの内容を読んでいることがわかりました。
またDMを受け取って変化したこととして、26.0%の方が「(企業に)特別に扱われたと感じる」、33.3%の方が「想起する(思い出す)ことが増えた」と回答しています。DMはメールに比べ内容を読んでもらえるだけではなく、お客様に特別感を持ってもらえ、自社を思い出してもらえる機会も増えるメリットがあるといえるでしょう。
 
さらにDMの有効性は読んでもらえ、特別感をもってもらえるだけではありません。
前出の「DMに関する生活者調査(2020年度)調査結果レポート」によると、内容が印象に残りやすいのもメルマガよりDMと言う結果が出ています。
男性は20代ではDMとメルマガで大きな違いはありませんが、30代になるとDMが36.5%、メルマガが21.6%。
40代では、DMが43.7%に対して13.8%、50代ではDM30.5%で、メルマガは7.2%にまで落ち込みます。
女性にいたっては、30代ですでにDM43.7%に対しメルマガは9.0%です。全体で見てもDMは41.25%が印象に残りやすいと回答しているのに対し、メルマガが印象に残りやすいと回答したのはわずか11.7%でした。
これらの調査結果から、DM施策には高い有効性があることがわかります。

ECビジネスにおけるDM施策の役割

ECビジネスにおけるDM施策の大きな役割は、デジタルマーケティング施策では届かないお客様へのアプローチです。

「企業からのメールは読まずに捨てる」「最後に購入してから1年以上接触がない」「LINEやSNSが主でメールはほぼ使っていない」といったお客様には、どれだけメルマガを配信しても届きません。

しかし、DMであればメールを使わないお客様に対して直接的にアプローチが可能です。

またDMはメールに比べお客様に特別感をもってもらいやすく、競合のECサイトよりも近い存在として認識してもらえる効果もあります。

そこでDMが高い効果を発揮する施策として、「季節商品・限定商品の販促」「カゴ落ち顧客へのアプローチ」「ブランドイメージの定着」「休眠顧客の掘り起こし」などへの活用方法を見ていきましょう。

季節商品・限定商品の販促

たとえば、魚介類の販売を行うECで、冬のカニや初夏のハマグリなどその季節にしか味わえない旬の味覚を特別価格で販売する際にDMが効果を発揮します。

旬のものを購入するお客様は、その時期しか訪問されないケースが多く、メールでは伝わらない場合もあるため、DMで直接アプローチした方が高い効果が見込めるでしょう。

DMでは商材にもよりますが、販売の2〜3ヶ月前からDM限定の予約販売を行う旨を記載し、事前予約をしてもらいます。

季節商品で難しいのは仕入量のため、早い段階で予約をもらえれば、仕入れる量の調整もでき、売り逃しや過剰在庫のリスク軽減も可能です。

「カゴ落ち」顧客へのアプローチ

カートに入れたまま購入せずに離脱してしまうことを、「カゴ落ち」と呼びますが、DMではカゴ落ちした顧客へのアプローチにも効果を発揮します。

多くのECサイトでは、カゴ落ちをしたまま再訪されないお客様も少なくありません。

実際、株式会社イー・エージェンシーが2020年4月から翌2021年3月に行った調査によると、平均カゴ落ち率は67.9%で、売上の2.5倍もの機会損失があるという結果が出ています。

DMでは、カゴ落ちをして再訪されないお客様に対し、カゴに入れたまま離脱した商品の機能や便利な情報を紹介した内容を送付しましょう。

またカゴ落ちした商品は他店舗で購入している可能性もあるため、DM限定のセール情報を送付するのもおすすめです。

多くの場合、カゴ落ちするお客様は、最終的な決断ができずに離脱している可能性も高く、DMが後押しとなり再訪してもらえれば、機会損失の軽減による売上向上が見込めます。

ブランドイメージの定着

メルマガよりも内容が印象に残りやすい、特別感を持ってもらえるといったDMの特性を生かせば、ブランドイメージの向上、定着も可能です。

送る相手としては、1、2回の購入経験はあるものの、購入の間隔が長く定期的なリピーターにはなっていないお客様がよいでしょう。

お客様への感謝や自分たちのECサイトが大切にしていること、ポリシーなどを記載したうえで、周年記念や週末限定セールなどへ招待するような内容がおすすめです。

自分を特別な存在として対応していることをお客様に理解してもらえれば、ブランドイメージの向上、定着が実現し、リピーターになってもらえる可能性も高まるでしょう。

休眠顧客の再訪

休眠顧客とは、以前は頻繁もしくは定期的に訪問して商品も購入してくれていたものの、まったく来訪しなくなり、メルマガを送っても反応もしなくなったお客様です。

休眠顧客となったお客様は、メールアドレスを変えていたり、競合のECサイトを利用するようになっていたりする可能性があります。

しかし、以前は購入経験があり、自分たちのECサイトを知らないわけではないため、改めて興味を惹けるような情報を提供できれば、戻ってきてもらえるようになるでしょう。

そこでDMでは、商品情報だけではなく、自分たちが扱う業種の最新情報やトピックなどを伝えてみるのがおすすめです。

ほかで得られない情報や専門性の高い情報であれば、さらなる情報収集のため自分たちのECサイトに戻ってもらえる可能性が高まり、休眠顧客の再訪が可能になります。

DM施策の効果を最大化させる方法

DM施策は単体でも高い効果が期待できますが、次の二つと組み合わせればさらなる効果が期待できます。

 
デジタル施策と組み合わせる
DM施策とデジタル施策では、重なる部分もありますが、それぞれが届かないお客様へのアプローチが可能になるため、施策の対象を拡大することが可能です。
 
CRMの活用
CRMとは、Customer Relationship Managementの略称で、顧客管理システムと訳されます。CRMとDMを組み合わせれば、お客様の状況に合わせた内容のDMを送れるようになるため、コストを抑えながら効果的なアプローチが可能です。

「デジタル施策×DM」の組み合わせが最も効果が高い

日本DM協会が発表した、「DMメディア実態調査2016」で、メールだけでは届かなかった層に「メールのみ」「DMのみ」「メール+DM」の3パターンでアプローチを行った結果が出ています。

メールだけの場合で8.1%、DMのみの場合で9.8%だったクリック率が、メールとDMを組み合わせることで14.7%までアップしました。

ただし、単純にメールとDMを組み合わせただけでは思ったような効果は見込めません。
ポイントは先にDMを送り、商品の記憶が残っているところにメールを送る点です。

DMがきたECサイトからのメールということで開封率が上がり、DMだけでは訪問に至らなかったお客様がメールにあるリンクから来訪される可能性が向上します。

またコストを抑える方法として、先にメールを送り反応がなかったお客様にだけDMを送るのも効果的です。

その後、フォローメールを送れば来訪の可能性は向上するでしょう。

「CRM×DM」で効果的アプローチ&コスト削減

ECサイトで購入経験がある、メルマガを購読しているといったお客様を管理するためのシステム、CRMとDMを組み合わせるのも効果があります。

DMとCRMの組み合わせで実現するのは、お客様のLTV向上です。

LTVとはLife Time Valueの略称で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。

一人のお客様が取引を開始してから終了するまでに自分たちのECサイトにどれだけ利益をもたらせてくれるか、その収益の総額を算出するための指標を指すものです。

DMの大きなデメリットは、メールに比べ印刷費や輸送費などのコストがかかる点で、無造作にDMを送れば、お客様のLTVも下がってしまうでしょう。
 
そこで、CRMを活用し、「メールを送付しても未開封の方」「何度も購入してくれる優良顧客」「印刷メディアのほうが見てくれそうな高齢者層」などに分類してDMを送付します。

送付する層によってDMの内容も変えて送付すれば、高い効果が期待できるのはもちろん、無造作に送るより大幅にコスト削減が可能です。

「MOTENASU」なら専門知識がなくてもDM施策のPDCAサイクルが回せます!

デジタル施策だけでは届かないお客様へのアプローチが可能なDMですが、DM単体で施策を行うよりもデジタル施策やCRMと組み合わせることでさらなる効果が期待できます。

そこで重要となるのが「CRMの選定」です。
メールによるデジタル施策はもちろん、DM施策を効率的に行える機能が備わっていなければ、高い成果は望めません。
おすすめは、効率的かつ実践的なDM施策を実行できるCRM、「MOTENASU」です。お客様の属性に合わせたDMの自動発注システムを備えたMOTENASUは、従来のDMでは困難だったクリック率や購入にまで至ったかどうか、さらに不着数までも計測を行えます。
MOTENASUを活用すれば、DM施策のPDCAサイクルが回せるようになりECサイトの売上向上にも大きく貢献します。
 
ECサイトでのデジタル施策に限界を感じているのであれば、ぜひ、MOTENASUの導入をご検討ください。
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