ネット通販でDMを活用するには?作成・送付の方法やポイントを解説

ネット通販で紙のDMを活用する事業者が増えています。顧客の関心を喚起し満足感を高めるうえで、DMが有効だという認識が広がっているためです。ネット通販ではメールマーケティングが主流ですが、さらなる売上アップを狙うならDMを利用しない手はありません。
 
本記事では、ネット通販でDMを活用する際に知っておきたいポイントをご紹介します。DMのコストを抑える方法や発送業務を効率化する方法にも触れているため、ぜひ役立ててください。

そもそもDMとは

DM(ダイレクトメール)とは、個人や法人に直接送付するはがきや封書、パンフレット、カタログなどの広告です。マーケティング手法の一種であり、広義ではEメール(電子メール)も含まれますが、本記事では紙のDMに絞って解説します。
 
DMの特徴は、さまざまな種類の広告やサンプル・クーポンなどの同梱物を顧客の住所に直接届けられることにあります。効果が見込める顧客に絞ったアプローチができる点や、Eメールに比べて埋もれにくく開封率が高い点なども強みです。
 
DMと聞くと古典的な販促手法だと感じる人もいるでしょう。しかし、DMを受け取って行動を起こす人は特に20代・30代に多いというデータもあり、特別感・おもてなし感を喚起できるマーケティング手法として再注目を集めています。
 
ただし、DMを送付できる対象は、氏名や住所などの個人情報を取得している顧客のみです。あえて挙げれば、住所を取得していない人や個人情報利用の同意を得ていない顧客には使えない点がDMの弱みといえます。

ネット通販におけるDMの重要性・メリット

はじめに、ネット通販でDMを活用すべき理由やメリットをご紹介します。

Eメールより開封率が高い

DMの強みの1つは、Eメールよりも開封率が高いことです。
 
ネット通販では、メルマガやステップメールなどのメールマーケティングが広く利用されています。しかし、EメールやDMなどの送付物は、顧客に開封してもらわなければ売上アップにはつながりません。
 
EメールやDMがどの程度開封されたのかを示す指標が、「開封率」です。開封率を調べた複数の調査結果から、DMの開封率はEメールの数倍程度に上ると考えられています。
 
例えば、一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」によると、DMを受け取った人のうち「読んだ」人の割合は、67.6%に上りました。
 
一方、Benchmark社が実施した2022年の調査によると、メルマガの平均開封率は20〜30%程度です。単純な比較はできないものの、DMの方が2〜3倍ほど多く開封されていることが分かります。

Eメールより行動につながりやすい

Eメールよりも実際の行動につながりやすい点もDMの強みです。
 
Eメールの場合、記載したURLがどの程度クリックされたのかを示す「クリック率」を測定できます。前述のBenchmark社の調査によると、メルマガの平均クリック率は3~4%前後でした。
 
一方、「DMメディア実態調査2021」によると、DMを受け取った後に何らかの行動を取った人の割合は21.0%でした。主な行動の内容と割合は以下の通りです。
 

  • ・ネットで調べた:6.7%
  • ・購入・利用した:2.1%
  • ・店に出かけた:1.4%
  • ・家族・友人との話題にした:3.9%

 
こちらも単純な比較はできないものの、行動喚起効果はDMの方が5倍以上高いと考えられます。売上に直接つながる行動が含まれる点もポイントです。

Eメールとの相乗効果が期待できる

EメールとDMを併用すると、相乗効果が期待できます。過去に実施された複数の調査から、EメールやDMを単独で利用するよりも併用する方が、効果が高いと判明しています。
 
富士フイルム株式会社が2016年に実施したDM実証実験によると、最も効果が高い併用方法は「DMを送った後にEメールを送る」というものでした。本実験の結果を以下でご紹介します。
 

送付する順番 アクセス率 注文率
DM→Eメール 23% 14%
Eメール→DM 23% 12%
Eメール→Eメール 10% 3%

DMの併用で効果が上がる理由として、手元にモノが残るために販促効果が持続しやすいことや、紙に好印象を持つ人が多いことなどが指摘されています。

ネット通販におけるDM活用のポイント

DMのメリットを知って、「自社でも利用したい」と思った人もいるのではないでしょうか。そこで、ネット通販でDMを利用する際に知っておきたい4つのポイントをご紹介します。

顧客のセグメント分けをする

1つ目のポイントは、DMの内容を検討する前に顧客をいくつかのセグメントに分けておくことです。セグメントとは、特定の条件で分けたグループです。例えば、性別・年代・居住エリア・購入単価・購入頻度で分ける方法などが考えられるでしょう。
 
DMは1通ごとに印刷代や送料がかかるため、送る対象を厳選する必要があります。すべての顧客に同じDMを送っても関心を持つ人が少なければ、かけたコストが無駄になってしまうためです。セグメントごとに最適化したDMを送る方が、高い費用対効果が見込めます。
 
ここでは、セグメント分けの具体的な方法として「RF表」をご紹介します。「RF表」とは、表の縦軸と横軸に「最新購入日(Recency)からの期間」と「購入頻度(Frequency)」を配置する顧客分析の手法です。
 
以下は具体例です。顧客が表のどの位置に該当するかによって、新規顧客・リピート顧客・優良顧客・休眠顧客の4つにセグメント分けしています。各軸の数値や分類基準は、マーケティングの目的や自社商品の特徴に合わせて変えてください。
 

具体例 購入頻度
1回 2回 3回 4回 5回
最新購入日 1ヶ月 新規 リピート リピート 優良 優良
3ヶ月 新規 リピート リピート リピート リピート
6ヶ月 休眠 リピート リピート リピート リピート
9ヶ月 休眠 休眠 リピート リピート リピート

 
セグメント分けが完了したら、DMの具体的な内容を検討します。例えば、新規顧客にはリピート利用のメリットを訴求する、休眠顧客に新商品を案内する、などが考えられます。

送付タイミングを工夫する

2つ目のポイントは、最適なタイミングでDMを送ることです。DMは自社の都合に合わせるのではなく、顧客の都合に合わせて送る必要があります。
 
例えば、財布のひもが固くなって購買意欲が低下しやすい給料日前などは、避けた方が無難です。多忙な平日よりも時間的余裕のある週末の方が、DMは開封されやすい可能性があります。
 
適切なタイミングは、商材によっても変わってきます。ファッション関係なら季節の変わり目、学習塾なら年度末や夏休み前、化粧品やサプリメントであれば商品を使い切る時期などが狙い目です。
 
顧客の心理状況や購買意欲が上がるタイミングを見極めて、ニーズにマッチするDMを送りましょう。

パーソナライズをする

3つ目のポイントは、DMのパーソナライズです。パーソナライズとは、顧客一人ひとりに合わせてDMなどのマーケティング施策を最適化することです。
 
ネット通販なら、閲覧履歴に合わせておすすめ商品をDMで紹介する、カゴ落ちした顧客に該当アイテムをDMで再訴求する、などの施策が考えられます。
 
パーソナライズが求められる背景には、顧客の価値観や購買行動の多様化があります。一律でのアプローチが顧客に刺さりにくくなっている今、マーケティング施策を効率的に業績アップにつなげるためには、パーソナライズが欠かせません。
 
ただし、パーソナライズされたDMを個別に作成すると、同じDMをまとめて印刷・送付するよりもコストがかかります。費用を抑えたい場合は、バリアブル印刷の利用を検討しましょう。
 
バリアブル印刷とは、文書の一部をフレキシブルに変えて印刷する方法です。DM1枚ごとに異なる画像や文字を印刷できる点が魅力です。例えば、「お客様へ」の表記を個人名に変えたい、おすすめ商品を顧客の好みに合わせて変えたい、などの場合に役立ちます。他にも、DMに印刷するURLやQRコード(株式会社デンソーウェーブの登録商標)を個別に変更できるので、顧客のニーズに合わせて最適な商品ページ・動画ページ・LP(ランディングページ)といったWebページに誘導したい場合にも便利です。

開封後のアクションを計測する

4つ目のポイントは開封後のアクションを計測することです。DMを改善して最適化するためには、「どの程度の効果があったのか」「どの方法が有効だったのか」を把握しなければなりません。
 
DMでは開封率をダイレクトには計測できないため、返信用のはがきや封筒を入れて開封後のアクションを計測する方法が利用されています。
 
一方、QRコードを活用すると、より効果的な計測が可能です。ネット広告のように広告コードを付与したURLをQRコード化してDMに印刷することで、顧客がスマートフォンで読み取ったタイミングでさまざまなデータを収集できます。さらに、DMに顧客固有のQRコードを印刷しておけば、「どの顧客が・いつ・どのDM経由で・どのページにアクセスしたのか」などが分かります。

ネット通販のDMを作成・送付する方法

ネット通販では、DMの印刷・発送を代行業者に委託するケースが一般的です。DMの作成や送付は自社でもできますが、送付物の制作や宛名印刷、封とじ、運送業者への依頼など、すべき作業が多く、負担が大きいためです。

DM印刷・発送代行業者に依頼する

DMの印刷と発送を別々の業者に委託する手もありますが、多くのDM代行業者はデザイン・印刷・発送にワンストップで対応しています。顧客データやデザインデータを入稿しさえすれば、業者が依頼通りにDMを印刷・発送してくれます。
 
コストを抑えたい場合は、自社でデザインを内製する、印刷業者の無料テンプレートを利用するなどの方法も検討しましょう。料金は業者によって異なるため、あらかじめ見積もりを取ると安心です。運送業者と特約契約を結んでいる代行業者に依頼すれば、割安な送料でDMを送れます。
 
ただし、代行業者に業務を委託する場合、必ず自社の顧客データを提供する必要があります。自社のCRM/MAツールからDMに必要なデータを抽出する、バリアブル印刷に必要なデータ加工をする、などの作業が発生するケースが一般的です。
 
自社システムと代行業者のシステムがスムーズに連携できないと、データの準備に多くの手間がかかるおそれも出てきます。
 
顧客データの受け渡しでは、個人情報の扱いにも注意が必要です。委託先業者が情報を漏えいした場合でも、自社の責任が問われます。プライバシーマークを取得しているなど、個人情報保護法対策を講じている信頼できる業者を利用しましょう。

DM発送対応のCRM/MAツールを導入する

ネット通販でより効率的・効果的にDMを活用したいなら、DM発送に対応したCRM/MAツールの導入をおすすめします。DM発送に対応したCRM/MAツールとは、DM発送代行業者のシステムと連携できるものを指します。
 
最大の特徴は、クラウドやAPI(Application Programming Interface)を介して顧客データを代行業者に提供できる点にあります。面倒なデータ受け渡しをする必要がなくなり、CRM/MAツールの管理画面からEメールを送るような感覚でDM送付を指示できます。
 
シナリオを設定しておけば、自動でのDM送付が可能です。個人情報漏えいのリスクを低減できる点も見逃せません。
 
弊社FIDの「MOTENASU」も、DM発送対応のCRM/MAです。クラウド上の顧客情報からDM用データを自動抽出して提携業者に提供する仕組みで、シナリオに基づいたDM1枚からの自動発送が可能です。バリアブル印刷にも対応しており、スピーディーできめ細かいDM戦略を実現できます。プライバシーマークを取得している点もおすすめポイントです。

ネット通販にDMを導入する際の注意点

ネット通販でDMを導入する際には知っておきたい注意点もあります。

個人情報保護法を把握しておく必要がある

DMには顧客の氏名や住所などの個人情報が含まれているため、個人情報保護法に抵触しないための対策が必要です。個人情報保護法は厳格化が進んでおり、罰則も強化されています。消費者の関心が高まっているため、最新の情報をチェックしておきましょう。
 
ネット通販でDMを利用する際に注意すべきポイントは、以下の3つです。

  • ・事前に利用目的を提示して個人情報を取得する
  • ・保管している個人情報の漏えいを防ぐ
  • ・本人の同意を得ずに個人情報を第三者に提供しない

そもそも、利用の同意を得ていない人にはDMを送れません。顧客からDM発送停止を請求された場合は、直ちに発送を停止する必要があります。誤って再送付するとトラブルになるおそれがあるため、受取拒否などがあった場合は速やかに対処しましょう。
 
宛先を取り違えて送った場合も、個人情報漏えいに該当します。印刷・発送代行業者への業務委託は第三者提供には該当しませんが、監督責任が発生するため、注意してください。委託先の代行業者は、同意を得た範囲内でのみ個人情報を利用できます。

「信書」にあたる場合は発送方法が限定される

信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」です。例えば、特定の個人に宛てた手紙や納品書などは信書です。信書の詳細は郵便法で定められており、違反すると処罰の対象となります。
 
信書は送り方にも規定があり、比較的割高な日本郵便の普通郵便などを利用しなければなりません。「ゆうメール」や「ゆうパック」、宅配便などは使えないため、注意が必要です。
 
ネット通販のDMで注意したいポイントは、同梱する文書に顧客名を記載すると信書に該当することです。
 
例えば、バリアブル印刷で「お客様へ」を「〇〇様へ」に変えた場合は、信書として送付する必要があります。個人へのメッセージを書いたメモや付箋も同梱できません。「〇〇サービスユーザーの皆様へ」といった表記も「差出人の意思が明確だ」と見なされて、信書扱いになります。
 
DMの効果を上げるためにはパーソナライズが有効ですが、発送方法が限定される可能性がある点に留意しましょう。一方、文書にQRコードを記載する方法なら信書扱いにはなりません。送料を抑えながらDMのパーソナライズを実現したい人には、QRコードの利用をおすすめします。
 
先にご紹介した「MOTENASU」は、顧客固有のQRコードを発行する機能を搭載しています。そのため、顧客属性や行動履歴に応じて、顧客ごとに最も効果的と思われる内容のDMを送付できます。DM発送では割安な「ゆうメール」を利用しており、DM1枚のみの発送も可能です。

まとめ

DMの有効性に注目が集まるなか、ネット通販でもDMを利用するケースが増えています。ただし、DMはEメールよりも単価が高いため、セグメント分けやパーソナライズを活用して送付先を絞る施策が必要です。DMのパーソナライズでは信書の扱いに注意する必要がありますが、QRコードを利用すれば信書の規制に縛られずにパーソナライズを実現できます。
 
ネット通販でDMを活用したいと思っているなら、DMの自動発送とQRコードに対応した「MOTENASU」がおすすめです。すでにCRM/MAツールを導入している場合も簡単にデータ連携ができるため、既存システムを入れ替える必要はありません。
 
MOTENASUは、顧客セグメントごとに最適な内容のDMを送付でき、QRコードもユニークに設定可能。Eメール・SMS・LINEとの連携もできる他、シナリオ設定機能によりセグメント化や配信スケジュール設定といった作業の自動化もできます。「DMを利用しているが成果が上がらない」「DM発送の作業負担を減らしたい」と悩んでいる人も、ぜひMOTENASUの利用をご検討ください。

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