メルマガ改善のためにできる8つの施策例。改善点を見つける4つの指標も解説
顧客へのアプローチ方法が多様化している現在でも、メルマガはECサイト運営において依然として利用価値が高い手法です。ところがメルマガを配信し続けているにもかかわらず思うように成果が出せず、伸び悩んでいるケースもあるのではないでしょうか。
本記事ではEC事業におけるメルマガの効果改善に向けた3つのステップや注目すべき4つの指標を解説し、改善に活用できる8つの施策例を紹介します。ECにおけるメルマガの効果を改善したい方はぜひ参考にしてください。
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ECにおけるメルマガの重要性
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ECにおいて、メルマガは商品やブランドの訴求、新規購入の促進、リピート購入促進など、さまざまな面で貢献度の高いアプローチ方法です。すでにメールアドレスを獲得済みで商品やサービスをある程度認知している顕在顧客、そして過去に商品購入の経験がある既存顧客の両方に対して効果が見込めます。
ECにおいてメルマガの配信効果が伸び悩んでいる場合、原因の1つとして、メルマガ配信の目的そのものが形骸化している状況が考えられます。配信の目的を明確化しないまま実施し続けていると、いつの間にか「どのような頻度で配信するか」「通数はどれくらいにするか」など、メルマガの運用そのものが目的化してしまいがちです。購入促進やブランド認知の促進など、本来の目的を具体化したうえで、それに沿ってメルマガの内容や配信方法を改善し、効果を高めていく必要があります。
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メルマガの効果分析と改善点発見に役立つ4つの指標
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メルマガ施策がどれほどECのブランド認知拡大や売上アップなどに貢献しているかを具体的に把握するには、特定の指標にもとづく効果分析が不可欠です。効果分析ができれば、それをもとに施策を見直してパフォーマンスを改善していくことも可能です。効果分析・指標に役立つ4つの指標を解説します。
開封率
封率は、受信者に到達したメールが開封された割合を表す指標です。
開封率は以下の計算式で算出します。
開封率=開封数÷有効配信数×100(%)
Benchmark社が実施した「平均メール開封率レポート【2022年版】」によると、「小売/消費サービス」におけるメール開封率の平均値は27.29%です。扱う商材の種類の違いがメールの開封率にも影響するため、この平均値が妥当とは一概には言い切れないのも事実です。とはいえ、この業界平均と比べて自社のメルマガの開封率が低い場合は、例えば「件名や配信タイミングなど改善すべき点がないかどうか」を検討する必要があります。
メルマガと開封率については以下の記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。クリック率
メールを開封した後に、メール内に設置されたリンクをクリックした割合です。
クリック率は以下の計算式で算出します。
クリック率=クリック数÷有効配信数×100(%)
前述の「平均メール開封率レポート【2022年版】」によると、小売/消費サービス業における平均クリック率は、3.39%です。もちろん、業種ごとの特徴の違いがクリック率にも影響するため、一概にこの平均値がどのECにも当てはまるとはいえません。とはいえ、この値と比較して自社のクリック率が低すぎる場合は、例えばCTA(Call To Action:そのメルマガが目的とする行動を喚起するためのリンクやボタン)の位置が適切ではないなど、メルマガの構成や内容などに問題がある可能性があります。CV率
CV率は、コンバージョン(Conversion)率の略語です。コンバージョンとは、その施策で最終的に顧客に取ってもらいたい行動を指します。ECにおけるCV率は、メール内リンクをクリックした先でのカタログ請求や商品購入など、メルマガの目標達成に至った割合を指します。
CV率は、以下の計算式で算出します。
CV率=CV数÷有効配信数×100(%)
一般的なCV率の目安はクリック率の10%が目安とされていますが、これも商品ジャンルなどによって異なるため、自社のECにはそのまま当てはまらない可能性もあります。いずれにせよ、基準値よりも低すぎる場合は、クリックした先にあるLP(ランディングページ)や、クリックの誘導方法、あるいは商品そのものの改善が必要かもしれません。
解約率
配信先のうち、メルマガ解約に至った割合を指します。解約率は、以下の計算式で算出します。
解約率=解約数÷その期間の有効配信数×100(%)
Kinstaが公表している統計によると、小売業における解約率の平均は、0.19〜0.5%ほどです。メルマガを運用している以上、多少の解約が発生するのは仕方がないこととはいえ、解約率があまりにも高い場合は、メルマガの内容や配信頻度、配信時間帯などに問題がある可能性があります。配信頻度や時間を変える、コンテンツを見直すなどの試みを重ねながら、解約率を徐々に下げていく必要があります。
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メルマガの改善点を分析する手順
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メルマガの効果を改善するには、まず見直すべき点がどこにあるかを特定する必要があります。メルマガの改善点を分析する3つのステップを紹介します。
目的の再確認・KPIの整理
第一に、そのメルマガ配信目的は何かを明確化します。目的がはっきりしなければ、どのようなコンテンツを準備すべきかの見極めができないうえ、メルマガの効果測定に必要な目標やKPIの設定も困難になります。
ところで、目的と目標の線引きがいまいちはっきりしない場合もあるかもしれません。目的とは、その取り組みで最終的に到達したいゴールそのものです。目標は、目的であるゴールに到達するうえでクリアするべき具体的な基準で、一般的には数値を用いて設定します。
ECにおけるメルマガ配信の目的としては、売上拡大や目的の商品・ブランドの認知拡大、顧客数UPなどが挙げられます。目標は、「休眠顧客10%の掘り起こし」「LTV5%向上」「商品・ブランド特集ページへのアクセス数50%増加」など、具体的な数値と絡める形で設定します。
さらに、目的・目標の達成度合いを見極めるのに必要な目安として、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。KPIは、効果測定の際にどの程度施策の効果が出ているかを判断する際の基準として役立ちます。開封率などの指標を分析
設定した目的や目標、KPIに沿って、リアルタイムで進行中、あるいは終了したメルマガ施策の効果を、前述の開封率、クリック率、CV率、解約率の4つの指標から分析します。
1つには、業界や業種で標準とされているベンチマークと比較する方法があります。ベンチマークを基準とした場合に自社メルマガの効果は良好か、あるいは著しく劣るかなど、ある程度の見極めがつきます。
また、「特定のキャンペーンの前後」「週ごと」「月ごと」など、時系列でも比較しながら、各指標での問題点や改善点を探る方法もあります。改善方法の検討
望ましい効果が出ていない指標については、改善に向けてメルマガのどの部分を見直すべきか、具体的な施策を検討します。
例えば、開封率が思わしくない場合は「さまざまな件名のメルマガを配信したり、配信時刻を変えてみたりして最も開封率が高かった件名や配信タイミングを探る」、クリック率が伸び悩んでいる場合は「本文の内容や文字数、デザインを変えてみる」など、PDCAを回しながら最適な改善方法が何かを検討していきます。 -
メルマガ改善のためにできる8つの施策
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メルマガの効果を改善するうえで有効な8つの施策を解説します。開封率、クリック率、CV率、解約率の4つの重要指標のうち、どの指標の改善に役立つかも合わせてご紹介します。
セグメント配信を強化する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ ○ ○
毎回同じ内容のメールを全ての配信対象に一斉配信し続けていても、さほど望ましい効果は得られないうえに無駄なコストや手間が発生しがちです。むしろ、年齢や性別、居住エリア、行動履歴などのデータをもとに配信対象をセグメント化して、各セグメントとの関連度が高い内容のメルマガを配信すれば、それだけ開封やクリックの可能性が高まります。
CRM/MAツールから配信リストを作成してメルマガを配信している場合、特定の条件にもとづいて顧客を手軽に抽出し、「首都圏在住の30代女性に絞って美容グッズのキャンペーン情報を配信」「関西圏在住の40代男性のうち商品告知メール開封率30%以上のユーザーだけに割引オファーを配信」のように、各セグメントに適したコンテンツのメルマガを配信できます。他にも、商品購入日や購入回数、生年月日など、細かい条件で顧客をセグメント化したうえでメルマガをシナリオ配信し、メルマガ配信の訴求効果を高めつつ運用にかける時間的・労力的コストを抑えるといった使い方も可能です。配信する時間帯・曜日・頻度を調整する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ – ○ メルマガの効果には、配信する時間帯や曜日、頻度も影響します。配信タイミングが悪いと開封やクリックの促進が妨げられる可能性があります。
例えば、顧客が会社員の場合、勤務時間帯にメールを配信してもあまり開封してもらえません。むしろ朝、通勤電車内でスマートフォンを操作しやすい時間帯に合わせてメルマガを配信するほうが、開封率やクリック率の向上が見込めます。また、配信頻度が多すぎるとしつこい印象を与え、解約率が上昇しやすい傾向があり、この点も試行錯誤でしょう。
各セグメントに合わせて、テストを繰り返しながら適切な配信タイミング・頻度を探っていく必要があります。効果的な配信シナリオを設定する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ ○ –
「キャンペーンメールを開封した会員には関連メールも送付」など、なるべく顧客の属性や行動履歴に合わせてパーソナライズする形で、最適な配信シナリオを設定する必要があります。
EC事業でメルマガを配信するケースとしては、新商品や時季性商材の告知、キャンペーンやセールの紹介などがあり、主な手法にはスケジュールを定めてメールを段階的に配信していくステップメールがあります。
既存会員・顧客向けに画一的な案内を配信しても、効果は限定的です。そこで、先述した「セグメント配信」の考え方を用いつつ、配信対象の行動履歴や属性情報をもとに、相手にとって最適な配信タイミングや欲しい情報は何かを探り、最適化したうえでメールを送るのがより効果的です。ただ、数ある会員・顧客データを分析し、個別に最適な内容・タイミングでメールを配信するのは、あまりにも手間がかかり現実的ではありません。
CRM/MAツールがあれば、あらかじめ設定しておいた配信シナリオに沿って、顧客属性や行動履歴といった条件をもとに上記のような個別配信の自動化が可能。例えば、「健康ウェビナーの男性参加者に絞り、7日後・30日後にフォローメールを自動配信」「メルマガ経由でキャンペーンLPにアクセスした30代の会員だけに、10日後に割引締切日の告知メールを自動配信」など、メール配信の手間を最小限に抑えながら、効果の出やすいパーソナライズなアプローチを実施できます。リンク先を最適化する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 – – ○ –
メルマガの効果を改善するには、メール本体以外の構成要素を改善するのも重要です。特に、メルマガのリンク先として設定しているLPは、問い合わせや購入など、最終的に喚起したい顧客行動に大きく影響します。
顧客の属性や行動をもとにセグメント配信を行っている場合は、各セグメントの関心・ニーズに合わせてLPの構成や情報、デザインなどを見直して最適化することで、CV率が大きく変わる可能性があります。他チャネルとも併用する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ ○ ○
メールだけでなくSMSやLINEなどの他チャネルも組み合わせて活用することで訴求力が増し、メール開封率あるいはメッセージ到達率が向上する効果があります。
情報ルートが多様化している現在、消費者は複数のチャネルを使い分けて商品の情報を入手しています。同じ顧客でもメルマガやSMS、LINEによって反応率が異なる場合もあるので、対象に合わせてチャネルを使い分けたり、反応によってはチャネル同士を連携させたりなどの取り組みも効果的です。
なおCRM/MAツールは、顧客に応じてチャネルを使い分けたり、複数のチャネルを組み合わせたりできるものも多くあります。文面・キャッチコピーを改善する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ – – 受け手が思わず開封したくなるような件名を考案したり、目を引くキャッチコピーを配置したり、先を読み進めたくなるような本文を作成するなどの工夫も効果があります。
メルマガでよくありがちな失敗が、あれもこれもと詰め込んで文面を作成した結果、情報過多の長文メールになって読んでもらえなくなるパターンです。「事業者が何を伝えたいか」よりも、「顧客が何を知りたいか」の視点に立ち、情報を盛り込み過ぎずなるべくシンプルにするなどの工夫を施せば、反応率の改善が見込めます。迷惑メールと判断される要素を排除する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 ○ ○ – ○ せっかく手間暇かけて準備したメルマガが、メールソフトによって自動的に迷惑メール判定されないためには、迷惑メールと判断される要素を排除する必要があります。具体的には、メールのタイトルや本文、URL、画像が適切かどうか見直したり、より信頼度の高いドメインやサーバーに切り替えたりするなどの工夫が必要です。
また、配信頻度が高すぎたり、さほど興味がない情報を送り続けられたりする場合、受け手側が手動で迷惑メールに設定する場合もあります。配信タイミングやコンテンツの中身を見直して、迷惑メール扱いのリスクを減らす工夫が大切です。デザイン・画像の質を改善する
指標名 開封率 クリック率 CV率 解約率 改善効果 – ○ ○ –
従来的なテキストメールを配信している場合、HTMLメールの採用を検討するのも1つの手です。HTMLでは画像を配置できるので、魅力的な画像を活用することでメールの訴求力が高まります。なお、HTMLメールを運用する場合は、PCやスマートフォンなど、デバイスの違いに関係なく適切なレイアウトで表示されるよう、レスポンシブ・デザインにすることも重要です。
また、「CTAボタンをより目が止まりやすい位置に配置する」「CTAに配置されているテキストをクリックしたくなるような文言にする」などの工夫でも、効果の改善が見込めます。 -
メルマガの効果改善にはCRM/MAツールの導入・乗り換えも有効
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効果的なメルマガ配信にはCRM/MAツールが役立ちます。未導入の場合は、導入を通じてメルマガの効果改善が期待できます。すでにツールを導入済みの場合でも、機能の違いによって実現できる施策の内容や配信効果が変わってくるため、改善に向けて別ツールへの乗り換えを検討するのも1つの手です。
弊社FIDが提供しているCRM/MAツール「MOTENASU」は、EC事業に役立つさまざまな機能を備えています。顧客の基本情報に加えて、ECシステムと連携して受注情報を取り込みながら、顧客の購入履歴に合わせたメルマガを配信する施策も実行可能。年齢や性別といった単純な情報だけをもとにしたセグメント配信だけではなく、例えば以下のような高度なセグメント配信が可能です。
- 独自で設定しているゴールド会員に絞って配信
- ・10,000円以上購入した顧客に絞って配信
- ・過去2ヶ月間に購入のなかった顧客に絞って配信
- ・前回のメールを開封しなかったメルマガ会員に絞って再配信
- ・アンケートで〇〇と回答した顧客に絞って配信
また、メールだけでなくSMSやLINE、郵送DMなどさまざまな配信チャネルにも対応しているので、「メール経由でECサイトにて10,000円以上購入した顧客にだけ商品カタログ代わりの郵送DMを送付する」といったように、配信対象者の属性・行動に合わせて配信チャネルを使い分けることもできます。
さらに、以下のように配信チャネルを組み合わせた運用も可能です。
- ・配信したメールを開封しなかった会員・顧客にだけLINEで同じメッセージを配信
- ・郵送DMを送付後、到着タイミングでフォローメッセージをメールで配信
上記のようなセグメント別の配信や複数のチャネルをまたいだ配信を手動で行うと膨大な手間がかかりますが、MOTENASUのシナリオ配信機能を用いて「条件に合った相手に指定したタイミングで」自動配信するようにシナリオを設定しておくことで、配信業務の効率化・自動化も実現できます。 -
まとめ
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メルマガはEC事業にとって効果の高い施策です。メルマガの効果を高めるには、まず、認知拡大や売上増加など配信の目的を明確にしたうえで、数値を用いて目標を具体化し、効果測定のためにKPIを設定する必要があります。施策実施後は開封率、クリック率、CV率、解約率の4つの指標に着目してPDCAを回転させながら効果分析を行い、効果を改善していくことが重要です。本記事でご紹介した8つの改善施策を参考に、EC事業のメルマガの効果を高めてください。
ECにおけるメルマガ施策の成功には、CRM/MAツールの活用が大きく影響します。「MOTENASU」なら、セグメント化や配信シナリオの設定、メール・SMS・LINE・郵送DMといった複数チャネルの統合など、さまざまな機能を駆使してECの売上成長を実現できます。導入支援だけでなく、運用時も専門スタッフがサポートいたします。
詳細は以下をご確認ください。
「MOTENASU」の詳細ページはこちら
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