失敗しない「D2C」の進め方
今回は、“失敗しない「D2C」の進め方”をテーマに以下の目次に従い、概説します。
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はじめに
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D2Cですが、Direct-to-Consumerの略です。
商品の生産者やサービスの提供者が、卸売業者・小売業者あるいは中間業者を経由せず、直接、消費者や顧客に商品の販売やサービスの提供を行うという概念です。
D2Cのメリットとして、次がよく言われます。
- 中間マージンを省くことで、消費者や顧客に安く商品やサービスを提供できる。
- 生産から顧客への配送までの全過程に対するコントロールができる。
- 顧客と直接取引を行うことで、顧客データへのアクセスが可能となる。
- 顧客との関係が容易に構築できる。
実際、InstagramやSNSで流行となり、D2Cが成功したという事例がよく記事となりました。
但し、一過性で終わったケースも多々あります。
D2Cビジネスの相手が “消費者・顧客という個人”となることにより、商品の生産者やサービスの提供者は、様々な課題に直面し、トラブルに陥ることが多々あります。
“消費者・顧客という個人”をベースとした際の留意点、並びにD2Cビジネスを成功させるキーポイントを概説します。
まず、“取引の相手が個人であること“についての留意点について概説します。
尚、以下、“商品の生産者に関わるD2C”を念頭においています。
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取引の相手が個人であること
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取引の相手が個人であることについて、次の観点から留意点を概説します。
- 取引関係
- マーケティング・デジタルマーケティング
- 注文・在庫管理・配送サイクル
- 請求・支払い
- 返品やカスタマーサービス
取引関係
商品の生産者の取引相手が、卸業者あるいは小売業者という企業・商人か、それとも消費者・顧客という個人かにより、法規制上の違いが顕著となります。商品の生産に関わる法規制の他に、個人データの保全・保護に関するコンプライアンスだけでなく、次のような法令遵守が必要となります。
- 特定商品取引法
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 消費者保護法
- その他
ホームページ(HP)や商品の紹介ページには、これらのコンプライアンス状況とディスクレーマー(免責事項)を表示する必要があります。
個人情報・取引データに対するサイバーテロ対策やBCPの立案・実行も必要となります。
法的な対応だけでなく、HPからユーザーの検索履歴を取込むツールやスマホ対応も必要となります。この際、システムパートナーの協力が必要です。
マーケティング・デジタルマーケティング
D2Cのメリットとして、商品の生産者は、直接、消費者・顧客という個人との取引データに基づき、その分析結果をマーケティングに反映できるという点があげられますが、その為のツールが必要となります。
当然ながら、新規顧客の獲得あるいは既存顧客の維持の為の手順とツール・システムも必要です。
これらは、B2Cの場合と同様、デジタルマーケティングに関する手順とツール・システムが必要となることを意味します。当然、CAC(Customer Acquisitor Costs、顧客の獲得維持コスト)が別途発生します。
デジタルマーケティングの手順ですが、特定の主力商品とターゲットとなるセグメント毎に次のような手順が不可欠です(例示)。
- 新規顧客の獲得
- 認知:SNS・ネット広告を利用し、自社及び自社製品の紹介を依頼する。
- 興味:主力商品のターゲットとなるセグメントがフォローするSNS・ネットのインフルエンサーあるいはブロガーに対し、主力商品の紹介して貰い、主力商品への興味を掻き立てる。同時に、HP、自社あるいはネットモールのスマホアプリへの誘導とユーザー登録を依頼する。HP、自社あるいはネットモールのスマホアプリから検索履歴をデータとして入手し、嗜好分析できるツールの準備も必要です。
- 検討:ユーザー登録してくれたユーザーのセグメント情報に基づき、新規購入の際のディスカウントあるいは試供品の無料提供といったプロモーションを含むコンテンツやアクションを自動配信し、リードからホットリードへのステップアップを促すとともに購入意欲を高めていく。O2O(Online-to-Offline)といった実店舗の活用やオムニチャネルの整備も検討すべきです。
- 購入:購入取引と支払い方法の確認・配送状況に関わるメッセージの自動配信だけでなく、ウエルカムメッセージの配信を行う。
- 事後連絡:フィードバックの依頼、新規商品・関連商品の紹介メッセージを含むコンテンツやアクションの自動配信を行う。
- 既存顧客の維持
- スリーピング顧客:新規商品・関連商品の紹介メッセージ、特別セールス・プロモーションを含むコンテンツやアクションの自動配信を行い、再購入の意欲を高める。
- 一般顧客:新規商品・関連商品の紹介メッセージあるいはセールス・プロモーションを含む、順One-To-One的なコンテンツやアクションの自動配信を行い、購入意欲の維持を図る。
- 優等生:自動配信だけでなく、One-To-One的な要素を含むコンテンツやアクションの配信を行い、顧客関係の維持・拡大を図る。
- 最優良顧客:One-To-One的な要素をメインとするコンテンツやアクションの配信を行い、顧客関係の維持を図る。
- 問題児・クレーマー:別途対応策を検討し、実施する。
上記の手順は一度設定すれば済むものではありません。定期的な見直し・検証・修正・更新作業が必要となります。
この際、専門的な知識を有するスタッフやシステムパートナーの確保・維持が必要です。
注文・在庫管理・配送
卸業者あるいは小売業者という企業・商人からの注文に対しては、ある程度定期的に決まった数量と特定の場所に配送するものでした。
消費者・顧客という個人からの単品注文あるいはサブスク注文に対しては、不定期かつ一品で不特定な個人の自宅への配送となり、事務処理や費用が大幅に増加することになります。また、注文者という個人に対し、個々に配送状況の連絡が不可欠です。
考慮点をまとめると次のようになります(例示)。
- 注文・支払い方法:単品購入・サブスク購入が可能なHP、自社あるいはネットモールのスマホアプリを用意する。同時に支払い方法について、登録あるいは注文の際に入力・選択ができるようにする。
- 在庫管理:不定期な注文に対応できるようサプライチェーンの整備・確保・維持を図り、在庫切れという状況が発生しないように対応策を講じる。
- 配送:配送業者に対する配送指示の自動化を図り、不特定な個人の自宅への配送を行う。
- 配送状況の連絡:注文者である個人に対し、配送状況の自動配信を行う。
マーケティングの場合と同様、注文・在庫管理・配送に関わる手順は一度設定すれば済むものではなく、定期的な見直し・検証・修正・更新作業が必要となります。
この際、専門スタッフやシステムパートナーの確保・維持が必要です。
請求・支払い
企業や商人の場合、インボイスの発行とその支払いの確認作業がメインでしたが、個人のオーダーに対しては、注文時にクレジットカードや銀行からの引落しなどを通じた支払い方法の確認が必要となります。
支払い方法について、HP、自社あるいはネットモールのスマホアプリを整備し、登録またはその都度の選択ができるようにする必要があります。
この際、リコンサイル専門スタッフやシステムパートナーの確保・維持が必要です。
返品やカスタマーサービス
通販・オンラインあるいは定期通販・サブスクビジネスの場合、返品の手続きもオンラインで行い、返品場所へ送り返すか持参してもらうかの手順とツールが必要となります。
カスタマーサービスについても、問合せ・クレームの増加が予想され、人員の増加・マニュアルの整備が必要となります。
D2Cビジネスを成功する為には、上記の課題の解決が必要です。
有効な解決策の一つとして、上記の課題をカバーするショッピングカートシステムと統合型CRMの導入が考えらます。
以下、これらのシステムの導入を念頭に解説します。
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D2Cを成功する為のツール・システムの導入
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システム導入プラニングの手順を例示します。
現状分析と将来像の提案
現状分析と将来像を明確にする為、次のステップが必要です。
- D2Cを行う理由と達成したい目標
- 主力商品とターゲットとなるセグメントの理解
- 現状としてD2C導入前のトータルなフローの把握
- 将来像としてD2C導入後のトータルなフローの提案
- 現状と将来像の相違点の把握
- 現状から将来像に向かうロードマップとタスクの把握と整理
- 実行可能な範囲の特定
ツール・システムの導入プラニング、システムパートナーの選択
上記のステップを通じ、システム導入のプラニングを行います。同時に、いくつかのベンダーからオファーを取り、以下を行います。
- システムパートナーの選択
- ツール・システムの選択
- システム導入プラニングの詳細化
- プロジェクトチームの立上げとスタッフの確保
小規模で実行可能なプラニングの実行・検証・修正・管理
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留意点とまとめ
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D2Cは中間マージンを省略することが可能であり、商品の生産者・サービスの提供者と消費者・顧客である個人に取り、ウインウインの関係を構築することが可能です、特にInstagramやSNSで流行となれば、D2Cの成功率は上がります。但し、一過性で終わるケースも多々あります。
D2Cビジネスの継続化・持続化の観点から、特に取引の相手が “消費者・顧客という個人”となることにより、上記のような様々な課題に直面し、トラブルに陥ることが多々あります。それらを回避する為の手順やツール・システムが必要です。
ショッピングカートシステムと統合型CRMの導入またはサブスクリプションは、D2Cビジネスを成功させる有効な解決策の一つです。
この際、専門的なスタッフ、特にD2Cビジネスサイドに立つシステムパートナーの存在は不可欠となります。
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