限界CPOの重要性: 成功するECビジネスのための広告費の最適化術

EC市場の拡大に伴い、多くの企業が関与し、広告の効果を最大化するために「限界CPO」という指標が注目されています。

限界CPOとは、新規顧客一人を獲得するのにかけられる広告費の上限額を指す言葉です。これが正しく設定・管理されていない場合、多くの売上を上げているように見えても、実は利益をあまり出せていない、という状態もありえます。

ECビジネスを運営する上で、特に、多数のキャンペーンを同時進行させている企業や、新規顧客獲得を強化しようとしている企業にとっては、限界CPOの設定は避けて通れない要件です。

 

では、限界CPOを正確に設定し、正しく管理するためにはどのようなアプローチが必要なのでしょうか。本コラムでは、それらのポイントを詳しく解説し、ECビジネスを成功に導くための具体的な方法を提案します。
限界CPOを正しく設定・管理することで、ECビジネスの事業者は持続的な成長を実現するとともに、競争激化するEC市場での優位性を築くことができるのです。

通販ビジネス成功の基本は限界CPOの設定

成長している単品リピート通販(D2C・サブスクリプション)は、キャンペーンごとの【媒体】*【商品】*【クリエイティブ】の組み合わせ別に広告測定コードを設置し、全てのキャンペーンの広告費用対効果を分析しています。
分析システムで平均のLTVを計算し、限界CPO設定を基に、その範囲で新規顧客を限界まで獲得しています。

限界CPO(=上限CPO)とは、1件の新規顧客獲得にかけられる広告費の上限額であり、売上=費用となる損益分岐点の値を指します。 そして、限界CPOの算出にはLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)を求める必要もあります。

優秀な分析ツールは、キャンペーンごとのROIを3〜6ヶ月で分析できるので、広告予算をキャンペーンごとに調整しています。効果の良いキャンペーンは限界CPOまで拡大し、ROIの結果が良くないキャンペーンは広告を停止し、他のキャンペーンに切り替え、CPOを調整します。

 
ただ、こうした限界CPOの設定や分析をせずに運営を続け、売上は伸びているものの、実際は赤字であるという事業者も実は少なくありません。
トップラインの売り上げよりも、「最大の利益」や安定した利益を継続的に得る方が賢明な選択と言えるでしょう。

「新規顧客獲得を進めたあとで改善」では遅い

では、マーケティング担当者は、なぜ細かく分析していないのか?
様々な理由が考えられます。多少乱暴な発想もありますが、考えられる理由として以下のようなことが挙げられます。
 

  • 1. ノウハウを知らない
  • 2. 限界CPOだけ設定して、広告代理店に主計を頼んでいる
  • 3. 新規顧客獲得を大量に獲得することが自分の評価だから
  • 4. 予算消化の中で、CPOを最適化する役目だから
  • 5. CRM部署にLTVを高めてもらえればいいから
  • 6. ASPと契約後メディアが付いて、途中で新規顧客獲得を停止しづらい
  • 7. 新商品のクロスセルが成功すると考えていた
  • 8. 今は赤字でもいつかは継続が伸び続けて黒字になると思った
  • 9. 売れ続けたらブランディングが強化されて全体的な運営が良くなると思った
  • 10. 競合が消えて自然とCPO改善、LTV向上すると信じた

 

結構な新規顧客獲得を進めてから、後で改善しようと思っても、この時点でアウトになることが多いのです。
経営陣に内緒で広告投下を続けた挙句、バレて移籍するしかない事態になった責任者を何人も見てきています。
ノウハウがない場合は、勉強不足で済みますが、ノウハウを知っているのに赤字運営を行ったのであれば、確信犯と言われても仕方ありません。

広告停止の決断ができない心理

なぜ広告を停止して新規顧客獲得を見直す勇気を持てないのか、ということについては「新規顧客獲得までに相当な時間をかけ、せっかく新規顧客獲得ができるようになったのに…」という心理が働くものだと想定されます。

プロダクト・マーチャンダイニングでは、商品開発のための市場調査やトレンド分析、トライアル提供からのフィードバック収集と分析、商品製造の企画をすり合わせ、販促の設計、オファー、プラン開発、プライジング、パッケージデザイン、顧客体験提供の設計、アフターサービス・サポート設計…と、ものすごい時間をかけてきています。
その他、ECであればサイト構築やLP制作にも、企画、素材集め、制作、権威性の作成、メディア掲載、薬起法(薬事法)、景表法の確認などもあります。
 
販促するにも、ターゲットの市場調査からプロダクトマーケティング、PRやイベント、リアルコミュニケーション、ブランド戦略を練り、いざマーケティングの一環となる認知広告やSNS投稿・拡散、様々な広告施策をして売り出ても、なかなか上手く売れないことが多いでしょう。そこから、LPや記事LPを修正してLPOを繰り返し、少しづつ限界CPOに近づけていく訳です。
全てが順調に進めば良いのですが、環境に応じて、新規顧客獲得の件数や媒体ごとのCPOが悪化したりします。
 
このような苦労の中で進めていたら、想定していた限界CPOを超えても大丈夫だろうと考えたり、あるいは、限界CPOは正確ではなく想定値なので、ある意味あくまでも目標のCPOととらえてしまうのでしょう。

キャンペーン数が多ければ、良いものと悪いものが分かれるので、良いものだけを残せます。
しかし、アフィリエイト=ASP:Affiliate Service Providerを活用する場合や、代理店に完全委託状態だと、細かい部分が開示されないので、正直身動きが取りづらくなるのです。予算運用だとしても、広告代理店の大半は予算を消化しながら改善、という提案となるため、停止するという提案は少ないと感じます。
 
またアフィリエイト=ASPを活用する場合など、一度停止すると有力なメディアが離れるかもしれないといった意見から、事業者は臆病となります。最も新規顧客獲得を支援してくれているメディアが離れたら、競合に枠が取られてしまうのではないか、など不安となることもあるでしょう。
 

そのようなことから限界CPOを超えた広告費をかけ続け、その結果赤字運営に転落して事業撤退となってしまうなるケースが多いのです。
これらを改善するためのインフラを構築しないと、どこかで躓くこととなります。

CPOの分析をワンクリックで表示できるシステムも

LTVを算出し、分析を繰り返して、限界CPOを明確にしておく必要があります。
そのうえで、限界CPOを超えた時点で絶対に広告を停止する。このような判断で問題はないのです。

ただ、数百から数千もあるキャンペーンごとの広告測定コードを、全ての組み合わせで定期的に分析するのは非常に難しいというのも事実です。その分析結果をワンクリックで表示できれば、どれほど便利でしょうか。当社のCRM/MAツール「MOTENASU」なら、そうしたことも可能です。
 
「MOTENASU」に搭載されているのは、「ROI分析」や「新規獲得分析」、「継続分析」など単品リピート通販ビジネスに欠かせない分析メニュー。これらの分析機能は、EC事業や通販事業はもちろん、ウォータサーバー等の宅配ビジネスや塾/スクール等、各種サブスクリプション ビジネスにも活用いただけます。
さらに、デフォルトで搭載された分析機能のほかに、お客様の要望に応じて独自のカスタマイズ分析画面を開発するサービスも新たに開始いたします。
 
先にノウハウとインフラを手にいれたら大きな傷を負うことはありません。
ここで挙げた事項に少しでも心当たりがある場合は、是非ともご相談ください。

 
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