LINE×CRMの効果とは?活用事例や実現できることについて解説

この記事は主にBtoC事業を展開している企業担当者の方に向け、LINEを使ったCRM運用について解説しています。LINEを使ったCRMが注目される理由、企業の活用事例、LINE×CRMで実現できること、LINEと連携できるCRMツールについて説明していますので、ぜひ自社施策のお役に立ててください。
 
そもそもCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、顧客を一元的に管理・分析することで、顧客と良好な関係を築く経営手法です。このCRMの一環としてLINEを活用する事例が増えています。今回はその秘密について探っていきます。

LINE公式アカウントを使ったCRMが注目される理由

LINE公式アカウントを使ったCRMが増えているのは、LINE公式アカウントに次の3つのメリットがあるからです。

  • ・膨大なユーザーにアプローチできる
  • ・CRM施策として活用できる機能が多い
  • ・無料で運用をスタートできる

 

この他にも、「新聞を購読していない若年層にリーチできる」「顧客の反応をデータで測定できる」など多くのメリットがあり、新聞広告やチラシ配りなどに代わってLINE公式アカウントを利用する事業者も増えてきました。
 
これらについては、後ほど企業事例を交えて紹介しますので、まずは主要なメリット3つを見ていきましょう。

月間9,200万人が利用するプラットフォームでアプローチが可能

LINEは月間9,200万人(2022年3月時点)のアクティブユーザーが存在する日本最大級のプラットフォームです。毎日利用する人の割合は83.2%と他のSNSよりも高く、日本人の生活に溶け込んでいるアプリと言えます。

しかも、子どもやシニア層を含めた全世代が利用しており、男女の利用率や、地方と首都圏での利用率の差もほぼありません。
 
したがって、LINEは業種や規模を選ばず、顧客にアプローチできる媒体といえます。実際、各業界の大手企業から中小企業、個人の店舗経営者などのさまざまな事業者が、LINE公式アカウントを活用し、様々な属性のユーザーにアプローチしています。
 

出典:LINE Business Guide(Summary), LINE広告とは|LINE for Business

LINE公式アカウントの各機能とCRMの親和性

LINE公式アカウントは、事業者と顧客がつながる機能を備えたサービスで、CRMとの親和性も高いのが特徴です。CRMの顧客データとLINE公式アカウントのユーザーを紐付けると、例えば次のような施策を実現できます。

LINE公式アカウントの機能 実現できる内容
メッセージ機能 ・セグメント配信、ステップメール配信(※)ができる
LINEチャット ・1対1の双方向コミュニケーションが可能・CRMと連携すると、より精度の高い顧客対応もできる
リッチメニュー ・LINE公式アカウント上に「購入」「問い合わせ」などのメニューを作り、CRMと連携した外部サイトに遷移できる
ショップカード ・LINE公式アカウント、ECサイト、実店舗などのショップカードを一元化できる
クーポン・抽選 ・クーポンや抽選券を配布できる
・CRMと連携すればチャネルを横断した施策も実現可能

※セグメント配信:特定のグループにメッセージを送る方法
※ステップメール配信:特定のユーザーに事前に決めたスケジュールでメッセージを送る方法

LINE公式アカウント運用を無料で始められる

LINE公式アカウントには無料プランがあるため、費用をかけずに運用を開始できます。「成果が出るかわからないのでスモールスタートしたい」といったケースでも、気軽に試せるでしょう。

 
ただし、メッセージ数が1,000通を超えると料金が発生します(下表参照)。それでも一般的なメルマガ配信サービスよりも割安ですので、メルマガ配信サービスからLINE公式アカウントに移行する業者も増えてきました。

フリープラン ライトプラン スタンダードプラン
月額固定費(税別) 無料 5,000円 15,000円
無料メッセージ通数 1,000通 15,000通 45,000通
追加メッセージ料金(税別) 不可 5円 ~3円

出典:料金プラン|LINE for Business

LINE関連サービスを活用したCRM・関係構築事例

LINE公式アカウントなど、LINE関連サービスを使ったCRMの有効性を知るためには、実際の事例を確認するのが早道です。ここでは3社の成功事例を紹介します。

LINEミニアプリで効率的に会員データを取得|株式会社アールベイカー

ベーカリーカフェを営む株式会社アールベイカーは、簡易的なスタンプカードを発行してリピーター定着を図っていましたが、「リピート率がどのくらいか?」「誰がどのような商品を買っているのか?」などが把握できない課題を抱えていました。
 
そこで導入したのが、LINEミニアプリで発行できるデジタル会員証。LINEミニアプリはLINE上で運営できるECショップのようなサービスで、その機能を使ってCRMのデータベースと連携させたデジタル会員証を作れます。

LINEのデジタル会員証を利用した主な理由は、次のとおりです。

  • ・アプリインストールの手間がないため、会員登録してもらいやすい
  • ・クーポン券配布などで会員登録、集客につなげやすい
  • ・CRMでPOSレジとLINE公式アカウントを連携して、効率的に会員の購買行動を取得できる

施策実施後の3カ月で仮会員は1万人以上となり、その多くがユーザー属性を実店舗とひも付けられる本会員になったということです。この本会員の購買行動を、現在は商品開発や広告運用にも応用しています。

ユーザーに合わせた情報を届けるために「Vpass」との連携を推進|三井住友カード株式会社

三井住友カード株式会社は、同社のクレジットカードサービスの請求額通知や各種情報の照会などができる「Vpass」を運用しています。しかし、アプリをダウンロードしたくないユーザーが一定数おり、思うようにオンライン化が進みませんでした。
 
このため「Vpass」と並行して、LINE版「Vpass」を立ち上げます。LINEミニアプリとCRMを組み合わせたため、VpassのIDとLINEアカウントを連携したセキュアでリアルタイム性を持った機能を短期間で構築できました。
 
ユーザーは使い慣れたLINEで、請求額の通知や各種情報の照会などができます。また、クレジットカードの利用履歴とも連動しているため、リアルタイムでカード利用のお知らせも可能です。これによって不正利用が心配だったユーザーの顧客満足度を高められました。

LINEチラシの活用で新聞を購読していない若年層へアプローチ|株式会社西鉄ストア

スーパーマーケット「にしてつストア」などを運営する株式会社西鉄ストア。同社の主な集客、販促活動のひとつが新聞の折り込みチラシでした。しかし、次のような背景から思うように成果が上がらなくなってしまいます。

  • ・若年層を中心に新聞購読が減り、折り込みチラシを読んでもらえない
  • ・印刷費がかかるうえ、費用対効果を測定できない
  • ・コロナ禍によって大量のお客を集める特売広告が出しにくくなった

そこで同社が採用したのはLINEチラシです。LINEなら若年層を含めた全世代に低コストでアプローチでき、広告内容も配信結果をみながら調整できるからです。
 
LINE移行が成功したため、紙チラシの頻度は月8本から1本程度に減り、年間コストを1億~2億円削減できました。また、LINEユーザーからLINE公式アカウント上で予約販売を受け付けるようにしたため、顧客の購買行動データも蓄積できるようになったと言います。

LINE公式アカウント×CRMツールで実現できること

LINE公式アカウントにCRMツールを連携すれば、顧客の状態や属性に応じて最適なアプローチができます。また、得られた顧客データを新規顧客獲得に役立てることも可能です。

ここでは、以下の3つに分けてLINE公式アカウント×CRMツールで実現できることを紹介します。

  • ・ユーザー1人ひとりに合わせたメッセージ配信
  • ・ユーザーの購買行動データを効率的に取得できる
  • ・より多くのユーザーにアプローチできる

ユーザー1人ひとりに合わせたメッセージ配信

CRMツールをLINE公式アカウントに連携すれば、ユーザー1人ひとりに合わせたメッセージ配信が可能です。例えば、前日にECサイトに訪問した履歴がある人にだけ、リコメンド情報を配信できます。
 
LINE公式アカウントにも属性で絞り込んで配信する機能がありますが、One to Oneマーケティングはできません。性別や年齢、「友だち期間」などの条件設定はありますが、詳細な絞り込みは難しいからです。また、設定後の推計対象ユーザーも50人以上いなければならないため、中小規模のアカウントでは使いにくい面もあります。
 
この点、CRMツールには詳細なユーザー情報がありますから、多彩な配信シナリオを実現できます。またLINEだけでなく、ECサイトや実店舗など複数のタッチポイントのデータを参照できるため精度も上がります。

ユーザーの購買行動データを効率的に取得できる

CRMツールでユーザーをひも付けて管理できれば、ユーザーの購買行動データを効率的に取得できます。先に紹介したPOSデータとLINE公式アカウントの連携(株式会社アールベイカーの事例)で比較してみましょう。

CRMツールに連携するまでのPOSデータは、顧客IDにひも付けられていないため、主に「どの店舗で、どの商品が、いくつ売れたのか」という程度しかわかりません。実際、POSは売上や利益を管理する目的で使われるシステムです。
 
一方、CRMツール×LINE公式アカウントの場合は、顧客IDひも付けて購買情報を分析できるようになります。このため、リピーター定着のための顧客育成施策や、Webマーケティングのためのプロファイリング分析、LINEキャンペーンの成果測定など、さまざまに応用できます。
 
つまり、CRMによってデータ収集量が上がるうえに、1つのデータの価値を高められるのです。

より多くのユーザーにアプローチできる

LINEには膨大なユーザーがおり、その83.2%が毎日LINEを利用しています。このため幅広いユーザーにアプローチしたいBtoCや、ニッチな分野で見込み客を探すのに苦労するビジネスなどに向いています。

ただし、膨大なユーザー数の中から、見込み度の高いユーザーを抽出するのは大変です。また、メッセージを一斉送信すれば配信コストがかかるうえ、ユーザーに迷惑がられてブロックされるリスクもあります。
 
そのような時、LINE公式アカウントと連携可能なCRMツールがあれば、見込み度の高いユーザーの抽出が可能です。例えば自社サイトの購買履歴から、20代女性に人気の商品を発見できれば、類似ユーザーを選んでメッセージ配信を行うことができるのです。
 
ユーザーにマッチした情報を配信するため、開封数は伸びやすくなります。クーポンや抽選の配布などと組み合わせると、さらに効果を高められるでしょう。

LINE公式アカウント×MOTENASUで実現できること

FIDの「MOTENASU」は、One to Oneのアプローチを手軽に実施できるMA/CRMツールです。基幹システムと連携させたMOTENASUでLINE公式アカウントを運用すれば、各種のデータを統合管理して分析できます。

それによって以下の条件を明確にしたOne to Oneのアプローチを実現できます。

  • ・誰に(ユーザー属性、行動履歴)
  • ・いつ(例:商品Aの購入から1週間後など)
  • ・何を(ユーザーニーズに合った商品を)
  • ・どのように(LINEメッセージ、チャット、クーポンなど)

例えば、LINE公式アカウント単体のメッセージ機能では、業務負担が大きくなる関係で単純なステップ配信に陥りがちですが、MOTENASUでは次のような配信シナリオが組めます。

  • ・ECで商品Aを購入されたユーザーに自動的にメッセージを送信
  • ・指定したWEBページにアクセスしたユーザーに自動的にメッセージを送信

このようにピンポイントの訴求ができるため、コンバージョン率(開封した人のうち購入、問い合わせなどに至る確率)や顧客満足度を高められます。
 
さらにMOTENASUはLINEだけでなく、メール、SNS、DM、SMSなどの複数チャネルを一元管理することが可能です。例えば「LINEでアンケートに回答してくれた顧客に対して、DMでカタログを送信する」といったチャネルを横断した効果的な施策も行えます。

施策を実施した後の成果測定もMOTENASUにお任せください。例えば流入経路別、広告媒体別でアクセス者数や入金額などを集計できますので、業務効率を大幅に高められます。
 
LINE公式アカウント×MOTENASUに興味をお持ちの方は、ぜひ詳細ページをご覧ください。

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