ステップメールとは?メルマガとの違いや配信する方法・コツを解説
ステップメールは、顧客育成や販売促進の効果が狙えるメールマーケティングの手法です。メールアドレスのみで実施できるという特徴があり、EC業界でも広く利用されています。一方、具体的な配信方法や効果を上げるコツを知りたいと思っている方も多いでしょう。
本記事では、ステップメールの基礎やメリット・デメリット、配信方法、効果を高めるポイントなどを解説します。EC経営者やマーケティング担当者は、ぜひ役立ててください。
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そもそもステップメールとは?
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はじめに、ステップメールの意味やメルマガとの違いを解説します。
ステップメールの意味
ステップメールとは、決まった文面の複数のメールを、事前に設定した順番・タイミングで自動配信する手法です。会員登録や初回商品購入などを起点として、一連のメール配信を自動的に実施します。
例えば、ECサイトに顧客が会員登録した後に、下記のメールを自動配信したい場合などに有効です。
登録直後:登録へのサンクスメール
- ・3日後:サイトの利用案内
- ・10日後:おすすめ商品の案内
- ・30日後:初回限定クーポンの送付
ステップメールと似た仕組みにシナリオメールがあります。シナリオメールとは、顧客ごとに最適化したシナリオ(筋書き)に沿ってメールを自動配信する方法です。事前に設定した手順通りにメールを配信する点では両者に違いはなく、ステップメールはシナリオメールの一種だといえます。
ただし、通常ステップメールと称する場合は、全てのターゲットに同じ内容のメールを順番に配信するシンプルな手法を意味します。メルマガとの違い
メルマガも、ステップメールと混同しやすいマーケティング手法です。メルマガとは、新商品の案内やお役立ちコラムなどを随時または定期的にメールで配信する方法です。
ステップメールとメルマガはどちらもメールを利用しますが、配信期間やメール作成のタイミングなどが異なります。以下で、違いをまとめます。項目 ステップメール メルマガ 配信期間 事前に配信数・配信間隔を決める 顧客が利用を止めない限り継続的に配信する メールの作成 事前に作成 その都度作成 初回に配信するメール シナリオで定めた1通目のメール 最新のメール -
ステップメールをECに活用するメリット
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ステップメールをECに活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを解説します。
顧客のLTVを向上できる
1つ目のメリットは、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上が見込めることです。LTVとは、1人の顧客が一定期間内に自社の商品やサービスをどの程度購入・利用したのかを表す指標です。
LTV=購入単価×購入頻度×継続購入期間
マーケティングの現場では、単純な売上よりもLTVを重視する企業が増えています。企業間の競争が激化して、新規顧客の獲得にかかるコストが上がっているためです。既存顧客を優良顧客に育ててLTVを高める方が、企業の利益を上げるうえでは効果的です。
ステップメールには「顧客との接点を増やせる」「顧客が求める情報をタイムリーに提供できる」などの強みがあり、企業への信頼や商品への関心を高める効果が狙えます。ステップごとの効果検証がしやすい
2つ目のメリットは、ステップごとの効果を検証しやすい点です。開封率やクリック率などのデータをステップごとに収集して分析できるため、問題点に気付きやすく、スムーズな改善につなげられます。
例えば、1通目の開封率は高かったものの2通目で大きく下がった場合なら、1通目の内容や2通目の件名に問題があった可能性が疑われるでしょう。単発のメールでは把握しにくい問題点も、ステップメールを使えば詳細に検証できる可能性があります。メール作成の手間を省ける
3つ目のメリットは、メール作成の手間を省けることです。
会員登録や新規購入に至った顧客への感謝メール・フォローメールは、ECでは定番になりつつあります。しかし、手作業で対応すれば大きな手間がかかります。
自動配信ができるステップメールを利用すれば、運用の大幅な負担軽減が可能です。その都度メールを作成する手間を省けるのみではなく、配信漏れによる機会損失も防げます。 -
ステップメールをECに活用するデメリット・注意点
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ステップメールにはデメリットもあります。ECでの活用を検討している人は、下記の注意点を押さえておきましょう。
メール配信システムの費用がかかる
ステップメールを利用するためには、ステップメール機能を搭載したメール配信システムやCRM/MAツールが必要です。CRM/MAツールとは、マーケティングオートメーションに対応した顧客情報管理・マーケティングアプローチ自動化システムです。
新しいシステムを導入すれば、コストがかかります。コストに見合う成果が見込めるかどうかを慎重に見極めましょう。
ステップメールには無料サービスもありますが、ECでは有料のシステムを使う方法が一般的です。広告が入る、配信数に上限がある、サポートが受けられないなどの制限がかかる場合も多いためです。さらに、情報セキュリティが甘ければ、顧客データが外部に漏えいして問題に発展する恐れも出てきます。
システムの料金は安ければ良い、というものではないため、サービス内容をチェックして自社の目的に合うツールを選びましょう。事前のメール作成に手間とノウハウが必要
配信ごとにメールを作る必要がない点は、ステップメールのメリットです。ただし、事前に文面を作る際には時間や手間がかかります。
さらに、効果の出るメールを作るためには、セールスライティングのスキルやマーケティングの知識が欠かせません。魅力的な件名や文面を書けない場合は、成果につながらない可能性も出てきます。
効果的な文面が、顧客の属性や状況、商品の種類などによって変わってくる点にも注意が必要です。直ちに成果が出るとは限らないため、根気よく効果を検証してノウハウを蓄積しながら、徐々にブラッシュアップしていく努力が求められるでしょう。 -
ステップメールを配信する方法・必要な準備
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ここでは、ステップメールを配信する方法や必要な準備を解説します。
顧客のメールアドレスを集める
ステップメールは、顧客のメールアドレスが分からなければ配信できません。まずは、メールアドレスを集める必要があります。
ECでは、会員登録やメルマガ登録、初回購入、問い合わせ、無料お試し商品への申し込みなどのタイミングでメールアドレスを収集できます。ただし、メールアドレスの入力に抵抗を覚える人も少なくありません。「メールアドレスを入力しよう」と思ってもらえるような、魅力的なリターンを提供する仕組みを考えましょう。
さらに、収集したメールアドレスをステップメールで利用する際には、顧客にその旨を明示して同意を得なければなりません。特定電子メール法で義務付けられているためです。顧客から配信停止の請求があった場合に、直ちに対応する必要がある点も押さえておきましょう。配信スケジュール・内容を設定する
次に、配信スケジュールやメールの内容を検討します。
事前にステップメールを利用する目的を明確にして、目的達成の効果が見込めるプランを作りましょう。「どのような顧客にどのようなタイミングで配信を開始するのか」「どの程度の間隔で何通のメールを送るのか」などを詰めていきます。
以下で、新規購入者に対するシナリオ例を紹介します。内容 タイミング 1通目 サンクスメール 購入直後 2通目 出荷通知メール 商品を出荷した直後 3通目 到着確認メール 出荷の3〜5日後 4~6通目 関係性を深めるためのフォローメール 到着後数日~3週間の間レビュー依頼、使用例・体験談を配信するなど 7~8通目 購買行動を促すメール 消耗品であれば、なくなるタイミングにクーポンを送付してリピート利用を訴求するなど
ステップメールのシナリオについては、下記の記事もご覧ください。
関連:ステップメールのシナリオとは?その設計方法や文面作成のコツを解説メール配信システムを導入する
ステップメール機能を搭載したメール配信システムやCRM/MAツールを導入します。
ステップメールの成功を左右するポイントの1つが、ツール選びです。料金体系、配信数、登録読者数などはシステムによって異なり、操作性や配信スピード、サポート内容もさまざまです。ツールの特徴と自社の目的を勘案したうえで、使いやすいシステムを選びましょう。特に初めてステップメールを使う人には、サポートを気軽に受けられるサービスが向いています。
他チャネルとの連携が可能なCRM/MAツールもおすすめです。LINEやSNS、SMS(ショートメッセージサービス)、郵送DMなど、メール以外のチャネルでも自動配信ができれば、マーケティング施策の幅が広がります -
ステップメールの効果性を高めるためのポイント
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ステップメールを配信しても、直ちに成果につながるとは限りません。競合他社もステップメールを利用していると考えられるため、自社のメールを選んで読んでもらうためには工夫が必要です。
ここからは、ステップメールの効果を高めるうえで知っておきたい3つのポイントを解説します。複数のシナリオを用意する
1つ目のポイントは、顧客のニーズや属性に合わせた複数のシナリオを用意することです。
同じ商品を買った顧客でも、年代や性別、居住エリアなどによって心に響くメールの内容が変わってくる可能性があります。全ての顧客に同じ内容のメールを配信するのではなく、条件に合わせてシナリオメールを出し分ける方が効果的です。
EC業界では、顧客1人ひとりのニーズや属性に合わせてアプローチの方法を変える「One to Oneマーケティング」の重要性が増しています。消費者の価値観や購買行動が多様化して、画一的なアプローチでは関心を引きにくくなっているためです。
ただし、顧客ごとにパーソナライズされたシナリオメールを送るためには、属性や行動で顧客をグループ分けする「セグメント化」が不可欠です。ステップメールのシステムを選ぶ際には、セグメント化や複数シナリオに対応しているかどうかをチェックしましょう。開封率などを解析し効果検証する
2つ目のポイントは、配信後に効果を検証することです。配信のみで満足するのではなく、どの程度成果につながったのかを分析して問題点を洗い出し、改善につなげましょう。
検証の主な指標には、下記のような種類があります。- ・開封率
- ・リンクのクリック率
- ・CV(Conversion)率:購入や登録など目的達成に至った比率
- ・解約率
試行錯誤を繰り返してデータを収集しながら、自社の顧客にマッチする最適なシナリオを探しましょう。他のチャネルと連携させる
3つ目のポイントは、他チャネルとの連携です。
仕事ではメールを使うものの、プライベートの情報検索やコミュニケーションにはSNSを使う、という人が増えています。自社のターゲットがSNSをメインに使う層だった場合は、SNSでアプローチした方が効果的です。同じ商品を買った顧客でも最適なチャネルは異なるため、複数チャネルでの自動配信に対応したツールがおすすめです。
さらに、複数のチャネルを連携させると、より高い効果が見込めます。例えば、メールと郵送DMを併用すると、メールのみを配信した場合よりも開封率が上がります。郵送DMにはオンラインで訴求しにくい層へアプローチできる強みがあり、顧客の満足度や優越感を高めるうえでも効果的です。 -
ECへのステップメール導入の成功事例
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ステップメールをECに活用した成功事例を2つご紹介します。
株式会社カクヤス
株式会社カクヤスは、酒類や食品などを販売するチェーンストアです。実店舗と通販を運営しており、通販を利用した顧客には出荷後に出荷完了メールを配信しています。
ところが、利用していたシステムでは出荷完了メールの到達状況が把握できず、いわば「送りっぱなし」の状態になっていました。文面の修正が簡単にはできない点も課題でした。
そこで、メール配信システムを導入。出荷完了メールの到達状況が管理画面で簡単に把握できるようになりました。
さらに、「自社サイトの利用者とモール内ショップの利用者とで、メールの文面を変えられる」「メールの宛名に顧客名を差し込める」といった機能によって、パーソナライズされたメール配信の実現にも成功しました。アルペンローゼ株式会社
ナチュラル化粧品などを手がけるアルペンローゼ株式会社は、実店舗とECを運営しています。しかし、実店舗と同様のOne to Oneコミュニケーションが、ECではできない課題を抱えていました。利用していたメール配信システムが一斉配信にのみ対応しており、複数シナリオを扱えなかったためです。
課題を解決するために導入したCRM/MAツールには、顧客の属性や購買行動に基づいたセグメント化、セグメント配信などの機能があり、LINEやWeb広告との連携も可能。本ツールの導入によってアルペンローゼ株式会社は、オンラインでも実店舗と同様のOne to Oneコミュニケーションができるようになりました。 -
ステップメール配信にはCRM/MAツールがおすすめ
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効果が上がるステップメールを探している人には、セグメント配信が可能なCRM/MAツールをおすすめします。
ステップメールを利用すればメール配信を自動化できますが、一斉配信のみに対応しているツールではOne to Oneのアプローチができません。
CRM/MAツールを使えば、きめ細かいセグメント分けや複数シナリオに沿った自動配信が可能です。「Aという商品を購入した」「メールを開封しなかった」「メールに記載したリンクにアクセスした」などの顧客の反応に合わせて、メールの内容や送付タイミングを自動的に変更できます。
弊社FIDが提供するCRM/MAツール「MOTENASU」なら、ECシステムから取り込んだ購入履歴に合わせて顧客ごとにカスタマイズしたメールを自動配信する、といった施策ができます。「過去1ヶ月間に購入のなかった顧客にのみ配信」「前回のメールを開封しなかった人にのみ再配信」など、高度なセグメント配信に対応している点が「MOTENASU」の強みです。
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まとめ
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ステップメールの最大のメリットは、ECには欠かせないメールでのアプローチを自動化できる点にあります。メール作成・配信の負担を軽減したいEC経営者やマーケティング担当者は、ステップメールを上手に活用しましょう。効果を上げたい場合は、セグメント配信ができるCRM/MAツールがおすすめです。
FIDの「MOTENASU」は、ECをはじめとしたOne to Oneマーケティングに強みを持つCRM/MAツールです。高度なセグメント化と複数シナリオに基づくフレキシブルな自動配信に対応しており、データ分析機能も充実しています。
LINE、SMS、郵送DMなど、多彩なチャネルを使い分けられる点も「MOTENASU」の魅力です。例えば、「10,000円以上購入した人にのみ商品カタログを郵送DMで配信する」「メールを開封しなかった人にのみLINEで同じ内容を配信する」などの施策が可能です。特に郵送DMは1枚からの自動発送に対応しており、特許も取得しています。
メール配信にかかる手間を減らしたい、ECの利益を上げたいと考えている人は、ぜひ「MOTENASU」の導入をご検討ください。
「MOTENASU」の詳細ページはこちら
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