ネット通販のLTV最大化につながる施策7選と目指すべき3つの目標

ネット通販で注目されているLTVは、コストを抑えて利益を上げるためにぜひ意識しておきたい指標の1つです。LTV最大化のためには、平均購買単価と購買頻度の向上、継続購買期間の長期化を実現させることが必要です。

 

ただし、そのための施策にはさまざまなものがあり、商材や顧客層などによっても適した施策は変わってきます。具体的にどのような施策を打てばよいのかを、実際の成功事例も合わせて見ていきましょう。

ネット通販事業でLTVが注目される背景

ネット通販でLTV(Life Time Value:顧客生涯価値の略。1人の顧客が一定期間内に自社の商品やサービスをどのくらい購入・利用したのかを表す指標)が注目される理由として、主に以下の2点が挙げられます。

  • ・新規顧客獲得のコストが高くなっている
  • ・サブスクリプション型サービスが増えている

「1:5の法則」の通り、新規顧客獲得には既存顧客の維持よりも5倍多くのコストがかかるといわれています。ネット通販において利益を確保するには既存顧客と長期的な関係を築くことが重要となりますが、そこで顧客1人当たりの売上・利益指標であるLTVが注目されているのです。
 
また、特にサブスクリプション型サービスでは、顧客に長く契約してもらうことがダイレクトにLTV向上に直結します。ネット通販業界においてもサブスクリプション型プランが増えており、これもLTVが注目される要因の1つといえるでしょう。

ネット通販のLTVの計算方法

ネット通販におけるLTVの計算方法は複数ありますが、ここでは基本的な計算方法と、利益ベースでの計算方法を見てみましょう。

  • ・LTV=平均購買単価×平均継続回数
  • ・LTV(利益ベース)=平均購買単価×収益率×平均継続回数

前者の計算式では、顧客1人当たりがそのネット通販に支払う平均金額をもとにLTVを求めます。後者の利益ベースの計算式は、前者の平均購買単価に収益率をかけることで、そのネット通販の顧客1人当たりが生み出す利益額を算出するという考え方です。
 
なお、平均継続回数は「購買頻度×継続購買期間」で算出されます。よって、上記の計算式をさらに詳しくすると、次のようになります。

  • ・LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間
  • ・LTV(利益ベース)=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間

ネット通販のLTVの最大化に関係する3つの変数

LTVの計算式で用いる3つの変数「平均購買単価」「購買頻度」「継続購買期間」について解説していきます。LTVは、それぞれの数値が大きくなるように施策を打つことで最大化できます。そのための施策も合わせて見ていきましょう。

平均購買単価

平均購買単価とは、顧客1人当たりが1回に購入する合計金額のことを指します。平均購買単価を上げる方法は、簡単にいうと高額な商品を買ってもらう、たくさんの商品を買ってもらうということになります。
 
具体的には次のような施策が効果的でしょう。

  • ・高額な上位モデルを購入してもらうアップセル
  • ・関連商品も合わせて購入してもらうクロスセル

複数購入で割引が適用されるサービスをすることも効果的です。まとめ買いにお得感が出るので、1度にたくさんの商品を購入してもらいやすくなります。
 
なお、アップセルやクロスセル、まとめ買いを促す際は、顧客のニーズや購入意欲などを踏まえてアプローチをかけることが重要です。

購買頻度

購買頻度は、顧客1人の一定期間における購入回数の目安を指します。購買頻度を増やす方法は、以下の通りです。

  • ・定期購入やリピートを促す
  • ・商品をグレードアップさせる
  • ・商品の使用頻度を高める

定期購入やリピートを促せば一定の頻度での購入が見込めます。また、商品に新機能や新効能を加えれば、早く新しいものに買い替えたいという気持ちを掻き立てられるため、再購入が早まるでしょう。
 
さらに、例えば夜用美容液を「朝も使うとより効果的」とすれば使用頻度が上がります。早く使い切ることにつながるので、短いスパンでリピート購入してもらえるでしょう。

継続購買期間

継続購買期間とは、顧客がどの程度の期間にわたってリピート購入をするかを示す数値です。
 
継続購買期間を伸ばすには、顧客とのコミュニケーションを密接にとり、顧客が離脱しないようつなぎ止めることが重要です。具体的には次のような形でコンタクトをとることで、継続購買期間を伸ばしやすくなります。

  • ・リピート購入を促す
  • ・新商品のお知らせを配信する
  • ・クーポンを配布する

ただし、むやみにメールや郵送DMを送ると、顧客から煩わしいと思われかえって離脱につながるおそれがあります。顧客の状況や購入意欲などを考慮したうえで、適切にコンタクトをとることが重要です。

ネット通販のLTVを最大化する7つの施策

ネット通販でのLTVを最大化する施策としては、7つのものが考えられます。どの施策が適しているかは商品や顧客の属性などによっても変わってきます。各施策のポイントや効果、具体例を紹介していくので、1つずつ確認していきましょう。

メルマガ・シナリオメールの配信

メルマガやシナリオメールは、顧客にリピートを促し購買頻度を高めることに有効な施策です。
 
例えば60日分のサプリメントをネット通販サイトから購入した顧客に対し、商品到着後40~50日ほどのタイミングで再購入を促すメールを送ると、リピート購入してもらえる可能性が高まります。2回目購入者限定のクーポンをつければなお効果的でしょう。CRM/MAツールを使えば効率的にこうしたメールを送れるので、活用を検討しておきたいところです。
 
メールではなくSMSを活用することもおすすめの方法です。SMSで使う電話番号はメールアドレスに比べて変更されることが少なく、ブロックもされにくいため、より確実に顧客にメッセージを送信できます。

関連:ステップメールのシナリオとは?その設計方法や文面作成のコツを解説

定期購入プランの提供・促進

定期購入プランの提供・促進は、継続購買期間を長くすることに有効です。特に継続利用によって効果が高まる健康食品やコスメ商品は、単発購入から定期購入に移行させる「定期引き上げ」との相性が良いといえます。
 
例えば少し高価な美容液は、効果が高くてもコストの問題で単発購入に終わったり、効果は劣るものの安価な別商品に乗り換えたりされがちです。しかし、定期購入によって割安になるプランがあればお得感が増し、「もう少し安ければ続けるのに」という気持ちを拾うことができます。よって、長くリピートしてもらいやすくなるのです。

LINE公式アカウントの運用

LINE公式アカウントからキャンペーン情報や新商品の情報を配信することも、顧客との関係性を維持してリピートを促すために重要です。一斉配信だけでなく1対1のやり取りもでき、顧客の属性や購入履歴などに合った内容を配信すれば、さらに高い効果が狙えます。
 
他にもクーポン配信やリッチメニューなどネット通販に役立つ機能がありますし、タイムラインやLINEショッピングに商品を載せれば、顧客の目に触れる機会も増やせます。
 
複数アカウントの使い分けもできるので、ネット通販と実店舗を両方構える場合やブランドが複数ある場合でも精度の高いマーケティングができるでしょう。

レコメンド機能の実装

自社のネット通販サイトにレコメンド機能を実装すると、アップセルやクロスセルを促進でき平均購買単価アップにつながります。
 
例えば英単語帳を探している顧客に「他の人はこちらも購入しています」として英文法の本をレコメンドすると、そちらも合わせて購入してもらえる可能性があります。また、ダメージヘア用トリートメントを見ている顧客に、さらに効果が高いヘアマスクをレコメンドすると、多少値段が高くてもそちらを購入してもらいやすくなるでしょう。
 
ネット通販サイト内のみならず、メールでもサイトの閲覧履歴や購入履歴にもとづいてレコメンドできるとさらに効果的です。

同梱物・郵送DMの送付

商品に同梱して送付するチラシや郵送DMといった紙のツールも、リピート促進に有効な施策です。使い方の説明やお客様の声、購入へのお礼などを記載することで、顧客の満足度や自社への信頼度・好感度アップが期待でき、次も買おうと思ってもらえます。
 
同梱物は商品を開封する時に目に留まりやすいため、開封率がほぼ100%です。配信しても読んでもらえないこともあるメルマガなどと比べたメリットといえるでしょう。
 
郵送DMも、届いた際に他の郵便物と一緒に確認してもらえることが多いため、メールよりも開封率が高い傾向にあります。

Web接客機能の強化

チャットボットやポップアップツールにといったWeb接客機能の強化も、継続購買期間を長くすることにつながります。
 
例えば他人に贈るギフトを選ぶ際、顧客は相手やシチュエーションに合ったギフト選びに迷ったり、のし(熨斗)などのマナーはどうすればよいのかと困ったりしがちです。そのような時、わからないことを相談できるWeb接客機能があれば「このサイトでなら安心して贈り物を購入できる」と思ってもらえます。
 
その結果、サイトへの信頼性・満足度がアップするため、リピーターになってもらいやすいのです。

Web広告の配信

Web広告の配信は、顧客にリピート購入を促し購買頻度を上げるうえで有効です。特に、顧客の閲覧履歴や購入履歴にもとづいて広告を表示させる「リターゲティング広告」なら、より的を絞った広告配信が可能になるため効果が期待できます。
 
例えば自社のファッション通販サイトで夏服を買った顧客に対して秋服の広告を配信すると、興味を持って再び自社通販サイトを訪問する可能性が高いです。そしてそこでさまざまな服を見て、再度購入することが期待できるのです。

LTV最大化の成功事例

LTV最大化のポイントを見てきたところで、実際の事例も確認してみましょう。ここでは、オイシックス社とカゴメ社の成功事例を紹介します。それぞれの施策内容や狙い、効果などについて確認してみてください。

オイシックス

オイシックス社は、おすすめ食品が入ったカートを期間内に顧客自身がカスタマイズし、その食品が毎週届くという定期宅配サービスを行っています。しかし、顧客側がカスタマイズするのを忘れて意図しない食品が届いてしまい、解約につながるという課題がありました。
 
そこで、カートのカスタマイズをしていない顧客に対してLINEやSMSでリマインドすることで満足度の高い状態を維持し、継続購買期間を高める施策を行っています。また、届く食品に合わせておすすめの食べ方や産地・鮮度のこだわりを紹介するメールを送り、オイシックスで届く食品への満足度を高める施策も導入しています。
 
このように、顧客に快適にサービスを利用してもらいサービスの価値も感じてもらうことで継続購買期間を長くし、結果としてLTV向上につなげているのです。

カゴメ

カゴメ社のネット通販サイトが売上悪化を受け、LTVを上げるために取り組んだのはコールセンター業務の改善です。カゴメのネット通販サイトではもともと電話経由の注文が多い傾向にありましたが、顧客のニーズに十分応えられる対応ができていませんでした。
 
そこで、オペレーターに裁量権を与え、マニュアル通りの決まりきった対応をするのではなく、顧客のニーズに応じて柔軟な対応ができるようにしたのです。この結果、顧客のつなぎ止めとファン化につながり、6ヶ月後にはLTVが前年比28%増になりました。
 
また、離脱を防ぐために行う「フォローコール」がつながらない顧客が多いことを受けて、「フォローDM」も導入しています。こうしたフォローが届いた顧客の解約率は、そうでない顧客のおよそ半分であることが分かっています。

ネット通販のLTVの最大化に役立つツール

先に紹介した成功事例を見ても分かる通り、ネット通販でのLTV最大化のためには顧客のニーズに正確に応え、顧客の満足度や信頼感を高めることが重要です。多様な顧客のニーズに応えるのは難しいものですが、ツールを使えば粒度の細かい施策が可能になるので見ていきましょう。

CRM/MAツール

LTV最大化にはメルマガやシナリオメールといったメール施策が有効ですが、顧客ごとに刺さる内容や配信タイミングは違うため、セグメント化が欠かせません。CRM/MAツールとは、そうしたセグメント分けを自動で行い、顧客に合わせた内容・タイミングでメールを送ることで施策の効果を高めるツールです。
 
弊社FIDが提供するCRM/MAツール「MOTENASU」は、顧客の属性や購買履歴などのデータにもとづいて、「定期購入を促す」「クーポンを配信する」「関連商品や上位商品を勧める」など適切なアプローチができます。
 
初回購入後にリピートのない顧客や前回の配信を開封していない顧客に絞ったメール配信もできるため、離脱リスクの高い顧客を集中的にフォローすることもできます。
 
また、MOTENASUではメール以外にもLINEやSMS、郵送DMなど、さまざまなチャネルからのアプローチが可能です。LINEでは複数の公式アカウントの使い分け・一元管理もできるので、複数ブランドを運営している場合でも精度の高い施策ができます。
 
さらに、LTV分析や定期引き上げ分析などの高度な分析機能も備わっているため、状況把握や施策の改善も効率的にできるでしょう。

定期購入カートシステム

定期購入商品をメインに販売する場合は、定期購入機能の充実したカートシステムが効率的です。弊社FIDの「侍カート」には、定期購入向けの次のような機能が充実しています。

  • ・単発購入の決済前に定期購入を訴求するアップセル機能
  • ・指定した間隔で自動決済・購入処理をする定期購入機能
  • ・定期購入限定価格や「〇回目購入まで1,000円オフ」のような回数限定セールの自動設定機能

他にも業界最多の548機能が搭載されており、侍カートだけで定期購入・D2C(単品購入)も網羅できるようになっています。先に紹介したMOTENASUとの連携はもちろん、チャットボットなど他社ツールとの連携も可能なので、LTV最大化施策にも十分対応可能です。

まとめ

ネット通販サイトにおいてLTVを最大化させるには、「平均購買単価を上げること」「購買頻度を増やすこと」「継続購買期間を長くすること」が重要です。そのために効果的なのは、メールやLINEなどでリピート購入やアップセル・クロスセルを促す、定期購入を促すといったマーケティング施策です。
 
弊社FIDには、顧客の属性や購入履歴などにもとづいて効果的な情報配信を行うCRM/MAツール「MOTENASU」、定期購入向けの機能が充実したカートシステム「侍カート」があります。
 
これらを導入することで、多くの顧客に対して粒度の細かいアプローチ・フォローができたりスムーズな定期購入が可能になったりします。多様な機能によりコストや手間を抑えながらLTVの最大化を図っていけるため、ネット通販のさらなる売上・利益アップのためにぜひ導入をご検討ください。
 
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